内容説明
本書のテーマは自分の場所である。それは、浅草、鶴巻温泉、銀座、琵琶湖といった地理上の場所であったり、近所のマーケット、好きな居酒屋、好きな旅館、好きな抜け道、好きなお花見の場所、思い出の大学寮、電話ボックスといった著者が「属している(いた)」と思われる場所であったり、新婚旅行で訪れた地や思わぬ拾いモノ(誰かの臼歯、骨董のメガネフレームなど)をした場所であったり。
目次
彼処
浅草
出雲
羽田
アリゾナ、ネヴァダ
デイビス
オレゴン
鶴巻
京橋
銀座〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おくちゃん🌷柳緑花紅
74
私はかなり川上弘美さんが好き♪著者グラフを見るとこの一年間で一番読んでいる作家さんだ。小説も勿論だがエッセイも大好きだ。一月の彼処から始まり十二月の此処で終わる。たくさんの此処彼処。自然体でのびのびしていて可笑しくて面白くて少し寂しくて怖くて。「春が闌けてゆく」なんて素敵な表現でしょう。新婚旅行先のマダガスカルのお話がツボ!そして私も「往にいそぎする人」此処で自分の場所で細々と今日も明日も生きていく。2015/04/08
優希
49
ゆらゆら揺れるようなエッセイを読んだ感じです。自分に属するような場所を少しずつ紹介していくゆるさがいい味を出しています。揺れながら時折出てくる川上さんの色が独特だと思いました。色々な場所に行っても気取りが無くて、読んでいる方もゆるゆるしているうちに読み終わってしまう感じでした。飾ってない素敵なエッセイです。こういう素直でゆったりとしたエッセイを読むのもまたいいものですね。2014/08/30
tu-bo@散歩カメラ修行中
41
既視感は、文庫で読んだせいだった。ただ単行本の後書きが、作家としての川上さんの真骨頂のようなことを言っている。地名、人名という固有名詞の読者に与える先入観、固定観念を危惧する件 なるほどと思いました。そして なんとなく小川洋子さん、津村記久子さんも似たような気づかいをされているような印象を受ける。2018/06/29
tokotoko
38
きれいなタイトルのエッセイ。川上さんが「自分に属する」と思う場所を、ひと月に4つずつ紹介してくれます。ゆらゆらっとした中に、時々「川上さん」が現れるような文章で、気がつけば12月の章。いろんな経験されて、いろんな場所に行かれてて!でも気取りがなくて、素敵だなぁって思いました。読み終わって表紙を見たらね、タイトルの上に、カワイイ鳥がちょこんとのってました。この黄色いのは、細かい草です。表表紙と裏表紙をまっすぐにしてみると、草が山になって。山の向こうに、まだ見つかってない「此処彼処」がある気がしました。2014/05/05
sibarin♪
26
川上さんの12ヶ月のエッセイ。【せんせいの鞄】を読んだ時にも思ったけど、とても読みやすく優しい文章だと思う。何だろう?よくわからないけど心地よい感じのする文体。内容は 個性的感性を持つ小さな頃の川上さんから大人になって母になって作家になって、今此処に居る川上さんを読んで知れます。2015/05/02
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