内容説明
「本の雑誌」のイラストでおなじみの著者が、50年近くの登山歴から厳選した50の山を紹介。遠足での道迷い、若き日の仲間とのテント山行、息子との岩登り……。多種多様な山でのエピソードの端々に、人生の要諦がぎゅっと凝縮されている。山での食事や服装、遭難体験の教訓など、実用コラムも満載。はたまた脱力の四コマ漫画も。200点以上のイラストを眺めていると、さながら紙上登山をしているよう。新たな山岳名著、誕生!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
gonta19
127
2020/8/23 喜久屋書店北神戸店にて購入。 2022/4/25〜4/27 沢野ひとしさんの山岳エッセイ。大学生の頃、椎名誠さんの怪しい探検隊シリーズを貪るように読んでいたが、沢野さんが山登りをする人であることはすっかり忘れていた。この本では、沢野さんが登ったことのある山に関する思い出を綴っている。若い頃は結構ハードな登山をされていたんだなぁ。独特の味わいのイラストもあって良い本だった。解説の鈴木ともこさん、沢野さんの影響で山に登り始めたのは知らなかった。2022/04/27
サンダーバード@読メ野鳥の会・怪鳥
93
ワニ目の沢野画伯が選ぶ「沢野版日本五十名山」。子供の頃兄さんと共に登った山から、青春時代に登った山、息子さんと登った山、人生それぞれの山がある。穂高岳や槍ヶ岳など超メジャーな山もあるし、巻機山、七三二高地など初めて聞くマイナーな山もあるが、どこも一度は行ってみたくなります。深田版百名山には選ばれていない地元の御在所岳が選ばれているのも嬉しかった。「頂上には言葉はいらない。ただ黙ったまま、見つめているのが正解である」ほんと、そう思いますね。★★★★2020/08/22
Book & Travel
52
コロナと長雨で思うように出掛けられなかったこの夏休みに、少しずつ読んでいたイラストレーター沢野氏の登山エッセイ。少年時代の思い出の登山から、大人になった息子との最近の登山まで、50の山を紹介しつつ、登った時のエピソードや山への思いが語られる。著者のことは椎名さんの本で知っていたが、これ程本格的に登山をされているとは知らなかった。山の男らしい寡黙さを感じさせる硬派な文体に、可笑しみと切なさを交えた書きぶりは味があって、著者の人柄が窺えるようだ。自分は低山の散策を楽しむ程度だが、山への憧れが募る一冊だった。2021/08/23
Shoji
41
タイトルから連想すると登山の文字通り、山あり谷ありの人生訓が綴られていそうな気がしますが、そうではなくてあくまで自然体。日本の名だたる山を歩いた思い出が随想されています。内容は、いつの間にか子供に追い抜かれていた話、山でのマナー、若かりし頃に山で飲んだ酒と歳をとった今の飲み方の対比、進化する道具と変わらぬ物など、いぶし銀の魅力があります。素敵な随筆でした。2021/12/04
どぶねずみ
31
50年かけて登ってきた山々を紹介するだけではなく、そこに隠された家族の物語がジーンときた。親の背中を見て育つとはこういうことなんだなぁと山登りを通して感じる。私自身は600m以上の山には登ったことがないけど、標高が高くなるほど色んな危険が伴うし、最低限の山登りマナーも知っておかなくてはいけない。心暖まるエピソードにユニークなイラストつきの本書はそういったことも覚えやすい。山登りはもっとしたいと思っていたので、本書で勇気をもらいました。2024/06/09