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内容説明
多くの死傷者を出し、アニメ界のみならず日本社会に大きな損失をもたらした「京アニ事件」。この事件は何を露わにしたのか。アニメ史の専門家が独自の観点から分析する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
61
容疑者が自らの負った火傷で永らく療養し、春にようやく逮捕となった事件について、どのように切っていくのかという興味で読んだが、特に犯人の動機や犯人像についての予断を丁寧に排し、分かっていることを根拠に、著者自身の守備範囲をしっかり意識して書かれており、あの痛ましい事件に対する認識を深めることができた。実名報道の可否についても、犯罪被害者家族に対する取材攻勢という二次被害も押さえつつ、京アニの強い家族性を意識しながら、一方で不確定リストのネット出現も視野に入れて、公表すべきと論ずる。著者の良識を感じた。2020/09/01
美紀ちゃん
57
京アニファンにとって犠牲者の名前を知ることがとても重要であるという事情が分かった。監督、キャラクターデザイナーなどのメインスタッフはもちろんレジェンドだが、エンドロールに名を連ねるメインでないスタッフ名も覚えようとする。数年後そうした中の1人が才能あるアニメーターとして注目された時に駆け出しの過去から知っていたことがアニメファンにはステイタスとなるから。京アニファンらにとって被害者の実名へのこだわりは報道記者らが考えていた以上に切実で大きかった。事件で犠牲になられた方々のご冥福を謹んでお祈り申し上げます。2020/09/22
パトラッシュ
52
涼宮ハルヒ以来の京アニファンなので、あの痛ましい事件には驚愕した。新聞TVやネットに氾濫した情報を追っても、犯人や犠牲者、その周辺を含め推測ばかりで事実に乏しく隔靴掻痒の感があった。相模原の事件をしのぐ大量殺傷だけに、犯人は正気が認められたら死刑は免れない。それだけに京アニの歴史や作品を熟知した著者が発生から今日に至る経緯を整理し、実名報道や寄付問題まで含め問題点を洗い出した本書は今後を考える上での里程標となろう。舞台の『十二人の怒れる男』を観てきたので、偏見や前提抜きで真実を見る重要性を痛感させられる。2020/09/29
つっちー
39
凄惨な事件でありながら、いまだ、事件の背景がほぼ不明であることが、歯がゆいです。 報道も減った今でこそ、価値がある本であったと思います。 筆者が述べるように、アニメファン=異常者の様に報道がされなかったことが本当に良かった。今後、取り調べが進み、多くのことが判るとは思いますが、報道で知ることは期待できないかなぁと思っています。いつか、筆者のような人が、深く掘り下げてくれることを期待します。 個人的には、今のメディアの状況を見るに、被害者の実名公表とスタッフロールの関連は、ファンのわがままな気がします。2020/10/01
姉勤
33
もう三年になる。一人の男が、アニメーション製作スタジオ「京都アニメーション」の建屋に侵入放火し、三十六名の方が犠牲になり、さらに多くの人が重軽傷をおった。その犯罪の衝撃は、以後の個人テロリズム(政治思想とリンクしないテロル【恐怖】を、著者はテロではないと否定しているが)を見れば、日本人の心理に犯罪のハードルを下げたと言っていい。他人の成果や環境の最大値を己が享受するのを当然として、それに比して足りなければ不幸とする。常に刷り込まれる、その「平等」意識が、弱き人を犯罪予備軍とする。小人窮じてここに濫る。2022/07/11
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