世界「比較貧困学」入門 - 日本はほんとうに恵まれているのか

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世界「比較貧困学」入門 - 日本はほんとうに恵まれているのか

  • 著者名:石井光太
  • 価格 ¥730(本体¥664)
  • PHP研究所(2020/07発売)
  • GW前半スタート!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~4/29)
  • ポイント 180pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784569816203

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内容説明

スラムに住む子どもたちが笑顔で生き、かたや充実した社会保障に守られながら希望をもてない人たちがいる――。「日本は世界第三の貧困大国」とされている。一時は「派遣村」に代表される貧困問題がニュースとなり、生活保護をめぐる議論が断続的に世間をにぎわしている。たしかに私たちの将来の見通しはなかなか立たない。だが、物質的に恵まれている日本で「貧しさ」を実感している人は、はたしてどれだけいるだろうか? 『絶対貧困』『遺体』などのベストセラーで知られるノンフィクション作家・石井光太は、これまで世界の最底辺を取材しつづけてきた。その経験をもとに、途上国の貧困を「絶対貧困」、先進国の貧困を「相対貧困」と定義し、あやふやな「貧困」の本質に迫ったのが本書である。住居、労働、結婚、食事といった生活の隅々で、両者の実態を比較する。 【目次より】●第1章 住居――コミュニティー化するスラム、孤立化する生活保護世帯 ●第2章 路上生活――家族と暮らす路上生活者、切り離されるホームレス ●第3章 教育――話し合う術をもたない社会、貧しさを自覚させられる社会 ●第4章 労働――危険だが希望のある生活、保障はあるが希望のない生活 ●第5章 結婚――子どもによって救われるか、破滅するか ●第6章 犯罪――生きるための必要悪か、刑務所で人間らしく暮らすか ●第7章 食事――階層化された食物、アルコールへの依存 ●第8章 病と死――コミュニティーによる弔い、行政による埋葬 世界とくらべて、日本の貧困にはどのような特徴があるのか。たしかに日本では、貧困が社会のなかに溶け込んでいるため個々の事例としてしかとらえられず、大きな渦となって見えにくい。だが、それは裏を返せば、私たちのすぐ隣に貧困が潜み、だれもがそのふちに片足をかけていることを意味している。対岸の火事ではないはずだ。そしてこのことは、社会学のような学問や理論では決して見えてこない。現場を隈なく歩きつづけ、世界と比較するからこそ知りえる光景が、目の前に広がっていた。日本全体で約2,000万人、6人に1人が相対貧困であるという現実が厳然とある。働けど働けど、なぜか幸せを実感できない私たち日本人。その答えを本書で解き明かそう。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さぜん

47
途上国を「絶対貧困」先進国を「相対貧困」と定義した本書は貧困の本質に迫ろうとしている。貧困にならざる理由は様々で一括りにして善か悪かを判断するのも乱暴だ。石井氏が自身で取材し感じたことを下地にした展開で主観的な部分もあるが比較をする事で浮き上がってくる真実がある。日本ではコミュニティの崩壊、社会保障の充実が返って貧困の要因となっている。容易に解決できる問題ではなさそうだ。2019/01/19

壱萬弐仟縁

38
表紙見返しによると、日本は世界第3の貧困大国。経済大国ではない。途上国は絶対貧困。先進国は相対貧困で、6人に1人が相対貧困に陥っているという。これで景気回復なんてあり得ない。ホームレスは5重の排除に直面する(48頁~)。教育、職、家族、福祉、社会復帰からの排除。貧困が原因で犯罪に手を染める人もいるが、刑務所が逆に犯罪を増やすという(180頁~)。確かに栄養満点で1日3食しっかり出る。死因で貧困国ワースト1は下気道感染症。富裕国は虚血性心疾患(232頁)。2014/12/09

おさむ

36
海外の貧困問題に精通する著者による比較論。相対的貧困率が世界で3番目に高い日本。途上国の絶対貧困とは何が同じで、何が違うのか実例を交えて分析しています。日本は貧困層と富裕層が入り混じって暮らしており、階級社会ではない。恥の意識が貧困層に生活保護申請などを躊躇させている。海外に多い物乞いは宗教に基づくセーフティネットだが、日本はそれが少ない。海外は生きるために早期に結婚して子供を持つが、日本は真逆‥。貧困には色々な側面があり、各国の社会や文化と密接に関係している事を実感しました。2019/10/25

MASPY

26
貧困を途上国における絶対貧困と先進国における相対貧困に分類し、双方を住居・教育・労働・犯罪等8つの観点で比較しています。日本は相対的貧困率が高くワースト3位で、世界の貧困との違いは何かを論じています。ところどころ作者のデータに基づかない(取材経験から来るもの?)主観にもどつく主張がみられ、若干気になりました。序盤にわが出身地が貧困地域で名指しされたからかもしれないですが…。ただ、貧困を考えるうえでの入門書として、本書はいいきっかけになるのではないかと思いました。2023/09/25

ふろんた

24
1日1.25ドル以下で生活する「絶対貧困」、先進国で起こる格差による貧困を「相対貧困」と呼び比較検証する。現地取材をする著者なので、統計的な観点ではなく偏りはあるかもしえないが、実体験をもとに纏めている。これ読んで、なぜ教育が必要か?なぜ学ばなければならないのかがよくわかった。2014/06/05

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