ハヤカワ文庫SF<br> 逆まわりの世界〔改訳版〕

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ハヤカワ文庫SF
逆まわりの世界〔改訳版〕

  • ISBN:9784150122898

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内容説明

生者は若返り、死者は墓から蘇る時間逆流現象“ホバート位相”が発生した世界で起こる奇妙で不条理な現実を描くディック幻の傑作

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

催涙雨

27
本作ではホバート位相と呼ばれる現象によって、人が墓場から蘇って若返り、最終的には子宮に戻っていく。人と会ったときのあいさつは「さよなら」だし、食事は口から食べ物を吐き戻し冷蔵庫にしまい込むというものになっている。いろいろなことが順序をひっくり返した形で起こるので、時間が逆行しているという表現を借りたくなるのだけど、実際はそうでもない。レーザーは正方向に進んで人を焼くし、人の記憶は若返りながら蓄積されていく。「逆まわり」するものの線引きの不完全さに居心地の悪さを感じたのはわたしだけではないようで、解説を含め2025/08/13

たぬ

16
☆4 『アルジャーノンに花束を』をきっかけに贔屓の訳者となった小尾芙佐さんの翻訳が読みたく手に取りました。フィリップ・K・ディックは初読みです。地面の下から死者がよみがえり、胃の中のものを皿に吐き出すのが食事…そんな世界で起きた出来事はどう展開するのか。私は宗教に疎いから教祖様と教主の対立はそこまでエキサイトしなかったけど、したたかすぎるアン・フィッシャーとの対峙なんかの人間模様が意外と面白かったです。2025/04/22

オキアミ

13
時間が逆行した地球の話。逆行現象はホバート位相と呼ばれてかなり無秩序。特に挨拶の逆転には混乱させられた(会話の始まりがさようなら)。主人公たちの行動が尽く裏目にで流れは少し辛い。どう着地させるか想像するのは楽しかった。中盤以降、物語が目まぐるしく理解半分のうちに終わってしまった。不思議な感覚だった。2025/03/19

ソフィア

11
大した説明もなく、いきなりホバート位相だのソウガムだの市民特殊図書館だのという意味不明な概念が連発する上、1960年代の価値観の随所に近未来的要素が加えられた奇妙な世界観はさすがフィリップ・K・ディックです。一方、設定さえ慣れれば、ディック作品の中では読みやすく面白い部類に入るかと思います。時間が逆行していることから、食物を吐き出したり、男性が髭剃りでなくて髭植えをするのがツボでした。ハゲは存在しない世界なのでしょうかね?2023/08/30

ふみふみ

9
時間の逆転現象により死者は墓場から蘇り、生者は若返ってやがて子宮へと還っていく。この世界に神学論が絡みあってディックの数ある作品の中でも一二を争うクレージー度ではないでしょうか。物語は蘇ったカルト教の創始者を巡って、彼を墓から掘り起こした主人公と、消去局、カルト教の現指導者、ローマ教会が三つ巴で争うという筋立てでスラスラ読めるんですが、あの名作ユービックにも似た恐怖感、気持ち悪さが残ります。特に閉所恐怖症の人は要注意です。 2020/08/06

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