立東舎<br> 「街小説」読みくらべ

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立東舎
「街小説」読みくらべ

  • ISBN:9784845634989

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内容説明

名作を「街縛り」で読んで、文豪と一緒に仮想街歩きをしよう!
25の小説に詰まった、8つの都市の魅力に迫る。

室生犀星と古井由吉の金沢、村上春樹と坪内逍遙の早稲田、そしてフィッツジェラルドとサリンジャーのニューヨーク。本書は、人気翻訳家の都甲幸治が、自らと関わりのある街を中心に、小説を舞台ごとに読みくらべて、「街」と「小説」の関係を探る1冊だ。同じ場所でも、作家によって見え方、書き方は異なり、読み比べることで街はどんどん立体的になり、新たな奥行きが生まれてくる。街歩きと書評が融合したエッセイ集。

目次

まえがき

1 金沢
プロローグ――真っ黒いルーの謎のカレー
室生犀星『幼年時代』――杏の温かい音
古井由吉「雪の下の蟹」――男たちの体の群れ
吉田健一「金沢」――金沢にはチョコパフェがない

2 ロサンゼルス
プロローグ――アメリカの自動車教習
ジェームズ・M・ケイン『郵便配達は二度ベルを鳴らす』――カリフォルニアの緑の寿司
レイモンド・チャンドラー『大いなる眠り』――迷路としての都市
チャールズ・ブコウスキー『パルプ』――生を慈しむ

3 吉祥寺
プロローグ――ロンロンよ永遠なれ
太宰治「ヴィヨンの妻」――公園とアルコール
井伏鱒二『荻窪風土記』――百年前からサブカルチャー
松家仁之『優雅なのかどうか、わからない』――心がやわらかくなれる場所

4 福岡
プロローグ――祖父の思い出
絲山秋子『逃亡くそたわけ』――故郷としての言葉
東山彰良『女の子のことばかり考えていたら、1年が経っていた。』――太宰府の大きな楠
遠藤周作『海と毒薬』――メロン畑の思い出

5 国立
プロローグ――桜並木のヴォルテール
多和田葉子『犬婿入り』――谷保天神のニワトリ
大岡昇平『武蔵野夫人』――ウグイスとメジロ
黒井千次「たまらん坂」――坂とロック

6 本郷
プロローグ――本郷とは相性が悪い
夏目漱石『三四郎』――漱石は僕のクラスメート
森鴎外『青年』――鴎外と性の揺らぎ
大江健三郎「死者の奢り」――死者たちの声を聞く

7 早稲田
プロローグ――長いスロープ
坪内逍遙『当世書生気質』――日本超近代文学の起源
村上春樹『ノルウェイの森』――身体の哲学
保坂和志「この人の閾」――厚みのある時間

8 ニューヨーク
プロローグ――鍵だらけのドア
フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』――キラキラした世界
シンガー「ギンプルのてんねん」、マラマッド「白痴が先」――ニューヨークに生きる東欧
J・D・サリンジャー『キャッチャー・イン・ザ・ライ』――ナイフとフォーク

あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

uniemo

13
ある場所を訪ねる機会がある時その都市に纏わる小説を事前に用意して読みながらその場所を感じるのが好きです。本作に扱われている8都市のうちアメリカ以外の都市は私的に馴染みの多い場所でしたし、小説も少なくとも各都市に一つは読んだことがあるものでしたが、都市をイメージしながら読んではいませんでした。その街しばりで読んでみるとまた違う発見があるかもと思いました。2020/12/14

順子

12
思っていたのと違った。面白かった。国立市、国分寺市は両祖父母が住んでいたので私にとってイナカだ。土地勘があって嬉しい。出てくる小説も結構読んだものがあって、「そうそう」とか「へ~」とか「え?そうだっけ?」とか。そして読みたい本も増える。ニューヨークや福岡は行ったことないからとっても行きたくなる。この人の文章(語り口)好き。追記:自分が出た東京大学と教えている早稲田大学の比較が面白い。どちらも私の母校ではないが(おこがましい)何となく分かる気がする。2022/09/25

kankoto

9
金沢 ロサンゼルス 吉祥寺 福岡 国立 本郷 早稲田 ニューヨーク 土地にちなんだ三作品そこで過ごした都甲さんの思い出などが語られる。海外作品を紹介した著作が多かったので今回、日本の小説が多かったので意外な感じがした。 作品についてよりも都甲さんのその土地土地についての思いの方が比重が大きいような気がする。随筆のような。過去の都甲さんがその街で過ごす姿が思い浮かぶ。 国立の章で紹介されていた三作 多和田葉子「犬婿入り」大岡昇平「武蔵野夫人」黒井千次「たまらん坂」読んでみたいなと思った。 2022/05/30

mitam

8
①街を巡る筆者の思い出②街に関する客観的データ③名作小説(任意の3作品)のなかで街はどう描かれてるか。①〜③を有機的に組み合わせていくパズルのようなエッセイ集。縦横無尽に語れる筆者の引き出しがすごい。人生パーツからも人の良さが滲み出てて、会ってみたいな!って思う。 教え子が編集者になって、企画を持ちかけられて作った本らしい。構造が練られていていい企画。準備するのが楽しそう。2023/03/16

こうやん

7
街小説。旅行書ではない。違いは、そこに住んでいたということ。福岡、ニューヨーク、ロサンゼルス、魅力的な町が並ぶ。海と毒薬、グレート・ギャッツビー、取り上げられたタイトルもまた。イディッシュ語作家のシンガー。米文学ならではのチョイスも。2021/04/03

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