内容説明
パクス・ロマーナ期、ローマ帝国で弁護士、元老院議員、財務官、法務官、そして皇帝ネロの顧問官を歴任したセネカ(?~65年)は、思想家として人生、死、貧困、徳、欲望と快楽、真の自由という、誰の人生にも関わるテーマについて普遍的なメッセージを遺している。「どうしてこんな面白いものが今まで日本ではほとんど読まれなかったのだ」――特定の他者にあてた書簡の形で著した十数篇の文章を、『清貧の思想』『ハラスのいた日々』の作家・中野孝次が晩年自らの翻訳で読み解く。道徳的退廃に陥った21世紀の日本を憂え、人として生きる術を説くいきいきとした箴言として提示した、現代人のためのセネカ入門。(原本:2003年岩波書店刊)
目次
序――セネカ略伝
「マルキアへの慰め」
「人生の短さについて」
「道徳についてのルキリウスの手紙」
「ヘルヴィアへの慰み」
「幸福な人生について」
「心の落着きについて」
「閑暇について」
「神意について」
おわりに――現代人にとってセネカとは何か?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
鱒子
76
ストア派の考えがまだよく理解できていませんが、セネカはとても好きです。人間として真っ当だし、悩みに対するアドバイスが具体的です。古代ローマの頃から、人は同じようなことで悩んでいるのだなぁ。この人が政治の中枢にいた頃は、ネロの最も評価されている時代と重なる。2021/11/23
なかしー
66
セネカ好きなので、読んでみた。数少ないセネカ本。著者がドイツ語の書簡から翻訳抜粋し、著者の意見を入れた名言集。道徳に関するテーマでもあり、ちょくちょく「現代社会では〜」とお説教臭い意見が入るのはご愛嬌ということで。これは勝手な解釈だけど、セネカは寝ている以外思索、読書、執筆を中心とした生活していた、内省活動を勧めたりする人なので、内向的な人には参考になる考えも多いのでオススメかな。2022/06/20
うえぽん
51
「清貧の思想」等で著名な文筆家の著者が、晩年セネカの著作を全て読んだ上で、そのエッセンスを分かりやすく一般向けに紹介した作品。論語や徒然草を時折引きつつ、古今東西の思想家の主張の共通点も指摘。「今ココニ」を全力で生きること、自分の肉体に対する過度の愛は慎むこと、後世のために木を植えること、正しい行為の報酬は行為そのものであること、足るを知ること、老いても生き方を学び続けること等の人生訓が、セネカの壮絶な人生に重なって強く心を打つ。「自分は幸福ではないと思う者は、幸福ではない」との言葉を胸に刻んでおきたい。2025/01/31
hide
13
「人生の大部分は悪事をしているあいだに、最大の部分は何もしないあいだに、そして全人生はどうでもいいことをしているあいだに、人間からすべり落ちてしまっているのです。」ストア派哲学者の代表格セネカの言葉を、東洋思想との共通点を踏まえながら分かりやすく紹介している。現在と自分ごとに集中しよく生きよ、という普遍的なメッセージは全く古びていない。後半からは著者の日本社会批判が増えるが、その内容がなんとも古臭く感じ、逆説的にセネカの思想の普遍性を強調する結果になっている。2021/05/16
mikio
6
君が見るあの深紅色の宮廷服をまとった廷臣たちの誰ひとりとして、幸福な者はいません。舞台での役柄から、王笏と王のマントを持たされている俳優たちと同じことです。観客の面前でこそ彼らは高靴を履いて闊歩しますが、舞台から引っこむやいなや高靴を脱ぎ、自分の本来の姿に戻ります。富や名誉職のおかげで高い頂上に坐っているような連中の誰一人として、真に偉大な者はいません。なのになぜ彼が大きく見えたのか?それは君が彼をその台座ごと計ったからです。(セネカ「手紙」76-31)2020/12/29
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