内容説明
あの女を愛していたのだろうか? 失って初めて気づく存在の愛しさ。かつて空間を占め、いまやぽっかりと空いた女の声が静謐のなか永く響きわたり、男の人生に消すことのできない痕跡を刻みつづける。全編を通して漂う暗い空気のなか男の複雑な喪失感を描いた前川裕の初期短編ミステリー集。生と死の断裂が生んだ空虚を描く現代ミステリーの極点である。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
277
初読み作家の前川裕さんの実質のデビュー作で、原題は「人生の不運」の2編のみの作品集です。本書には推理の要素が皆無ですのでミステリーとは言い難く、またエンタメでもありませんので、人間のダークな面と重く厳しい人生模様を描いた文学作品と言えるでしょうね。どちらにも不運な人々が出てきまして読後は相当に辛い気持ちになる事を覚悟して読む必要がありますね。ハッピ―エンドとは真逆のバッドエンドですので、この2つの哀しい物語を参考にして今後の人生を生きる上でこんな風にならぬ様に反面教師にする読み方をすればいいと思いますね。2022/05/16
momi
48
あの「クリーピー」の著者の作品で初期の作品らしいです!うぅぅ…微妙。だけど…タイトルどおりのままの作品で伝わってくる暗さや、不快感はかなりのもの!隣人の自殺…ひとりの女性の死を巡る物語と、人生相談に相談を送る男の話!ジメジメと陰鬱な空気に包まれる…。きっと長編ならこの暗さに耐えれなかっただろう…。ちょうど短い短編集でよかった…。2016/09/20
はつばあば
47
運・不運って言うのは「あざなえる縄の如し」といいますが、人の死に関わる運不運だけは避けたいものです(◞‸◟)。怖すぎます。この作家さんお初です。隣人の自殺・・とかく人と言うのは口さがない。ジト~っとした湿気をもうすぐ終焉を迎える人生に持ち込まんといて~ってシッシと手で追い払いたいような文章。この本を選んで読みだしたのは私。そして最後まで読ませてもらって愚痴ってる私。二つ目の「人生相談」。貧しかったけど吝嗇とは縁のない結婚後の生活を送らせて貰ったのはやっぱり親のお陰。昭和ってこんなどよんだ時もあったのです2023/05/28
ピロ麻呂
27
ずっと暗い雰囲気が続くミステリー。2編ともちょうどいい長さの短編で読みやすかった(^^)2016/08/13
ひまわり*
19
初読み作家さん。「人生の不運」「人生相談」の2編だが、タイトル通り「深く濃く暗い闇」の中で読んでいるような読書だった。二度ほどしか言葉を交わしたことがない、隣人の女性が自殺した。しかし沸き立つ他殺の噂話。初めましてってこともあり、不運の方は淡々としてたので淡々と読んでいたら急に落下させられて驚いた。せめて、彼の知る真実にも耳を傾けてあげて~と思ってしまった。これって不運なの?嫌だわぁ。創作(嘘)の人生相談を送り続ける男の闇はわからないようで、わかる気がしてしまう。短いので、サクサクは読めました。2025/02/26
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