内容説明
第二次大戦下のニューヨークで、居並ぶセレブの求愛をさらりとかわし、社交界を自在に泳ぐ新人女優ホリー・ゴライトリー。気まぐれで可憐、そして天真爛漫な階下の住人に近づきたい、駆け出し小説家の僕の部屋の呼び鈴を、夜更けに鳴らしたのは他ならぬホリーだった……。表題作ほか、端正な文体と魅力あふれる人物造形で著者の名声を不動のものにした作品集を、清新な新訳でおくる。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
563
主人公のホリーも、語り手の「僕」も、そしてもう何年も店を構えているジョー・ベルでさえも、みんなどこからか、この街にやって来たのであり、彼らには等しく漂泊者の面影が漂う。14歳でテキサス州チューリップから出奔し、今ではニューヨークに暮らすホリーだが、彼女がいくら自由奔放にふるまっても、そこにはいつも孤独の影がつきまとっている。彼女には、とうとう「この街に一人も友達がいな」かったのだ。「僕」とジョー・ベルを除いては。エンディングは独特の哀愁が漂い、そしてすごく素敵だ。村上春樹の訳文が、ことさらに冴えている。2012/07/21
zero1
369
人はいつでも旅行中?男も女と同じように、危ない異性を好きになるもの?NYを舞台に、自由奔放な女性ホリーを作家志望の男の視点で描く。映画(後述)があまりにも有名な作品。この作品を「自由への解放」と解釈するとしたら。ホリーの言動は人が無意識の中に持つ願望を象徴している。人が常に抑圧されているなら、作品に出てくる猫はホリーの望む自由を手にした生き方?読む度に違う発見ができる作品だから読み継がれる。鏡の役割を果たしている小説ともいえる。https://youtu.be/vnoPke8tlAs2019/09/17
射手座の天使あきちゃん
328
先日読んだ「BUTTER」の中で主人公(男性3人の不審死の殺人容疑で起訴)が裁判長に「どのように生きてきたのか?」と問われて「ホリー・ゴライトリーのように男性に甘やかされて生きてきました」と答えるシーンが印象に残って読みたくなった一冊です。 翻訳が村上春樹さんと言う贅沢さ、お得意の暗喩表現もふんだんに使われて自由奔放に生きるホリーがとってもチャーミングに描かれていました。映画も観てみたくなりました。 (^_^)v2021/07/11
遥かなる想い
312
第二次世界大戦下のニューヨークが舞台と なる小説である。映画でヘップバーンが 演じたホリーの自由奔放さが 眩しい。 アパートの真上の部屋に住む 僕の視点は 好意に溢れており、軽快な筆致が 心温まる印象の作品だった。2018/04/15
ehirano1
293
「ホリー・ゴライトリーという生き方」、いやいや「ホリー・ゴライトリーの自我」、いやいやいや「ホリー・ゴライトリーの手に入らない虚しさ」、いやいや・・・もういいかwww。読後は、標題とは違ったタイトルを付けたくなりました。「ホリーの野性的自由」は、所有や独占を極端に嫌う世界(≒場所=ティファニー)を求め続けて世界を彷徨う。そんな彼女を懐かしく想いながら、バーで酒を呷る「僕」。なんか素敵だなと思った次第です。2024/09/22
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