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内容説明
豊富な資源があっても、国民のほとんどが貧しい。外資が開発をしても、豊かになれない。そして、終わりなき紛争と大量の難民……。アフリカは、これから発展する「希望の大陸」ともいわれるが現実は違っており、その貧困には日本を含めた先進国の人々も大きく関わっている。アルジェリア、コンゴ、マダガスカル、マリ、エチオピア、モザンビーク……日本ではあまり知られていない各国の問題点や世界的な搾取の構造を、マクロな視点とフィールドワークで得た経験により明らかにする。
目次
はじめに
「絶望の大陸」から「希望に満ちた大陸」へ
消費市場としてのアフリカ
もうひとつのアフリカ
外国投資の真実
外資による収益は人々に富をもたらさない
「新自由主義」に飲み込まれるアフリカ
本書の構成
第1章 紛争と開発
1 世界の「こちら側」と「むこう側」の論理
アフリカは日本と無縁の世界か
私たちは関わりあっている
間接的暴力が介在する世界
2 アフリカの紛争をどのように捉えるか
多発する紛争
紛争の犠牲者たち
アフリカの紛争の特徴
「国家建設」の挫折と紛争
「新しい戦争」の出現
「戦争経済」
金儲けの機会としての紛争
どのような国で紛争が起きやすいのか
産油国では紛争が起こらないのか
国境を越えた暴力の拡散
3 開発と紛争
なぜ貧困国では紛争が多発するのか
「開発」による間接的暴力
ダイヤモンドを欲するのは誰か
「最後の市場」の含意
第2章 混迷するサヘル
1 激化する暴力の中心地
サヘルはなぜ不安定な地域になってしまったのか
一四万円で買われる命
サヘルとはどのような地域か
2 トゥアレグ──砂漠の支配者から無法者へ
トゥアレグとは
「アザワド国」の分離独立
リビアのトゥアレグ傭兵
トゥアレグの帰還
3 マリにおけるイスラーム急進派勢力の拡大
マリの「タリバン化」
アルジェリア・イナメナス事件──「国境を越える脅威」の顕在化
イナメナス事件はなぜ起こったのか
イスラーム急進派が利用する構造的暴力
4 サヘル危機で激増する麻薬取引
懸念されているもうひとつの問題
「コカイン航空」事件の衝撃
麻薬ルートとしての西アフリカ・サヘルの重要性
「統治されない空間」が莫大な金を生む
イスラーム急進派と国際犯罪組織共通のメリット
サヘルの空白地帯で生み出される暴力
第3章 蹂躙されるマダガスカル
1 疲弊する人々と大地
地上の楽園か、呪われた大地か
政治混乱がつづくマダガスカルの地で
乱掘されるサファイア原石
蔓延する売春
高級木材の違法伐採
2 ラヴァルマナナ政権と外資による農地開発
二〇〇二年政治危機とラヴァルマナナ政権の誕生
ラヴァルマナナ政権
外資主導による大規模農業開発
韓国企業への国土の投げ売り
インド・ヴァラン社との契約
狙われる未開発の農地
3 国家崩壊の危機と大規模開発プロジェクト
二度めの政治危機──劣等国家への転落
社会的影響
資源富裕国という幻想
アンバトビー・プロジェクト
QMMプロジェクト
失われた時を求めて──マダガスカルに未来はあるのか
第4章 「資源の呪い」に翻弄されるアルジェリア
1 石油の富の幻想
産油国アルジェリア
二〇〇〇年代初頭の首都アルジェ
アフリカの資源大国
「ヒッティスト」の苦悩
石油富裕国の貧困
「資源の呪い」
「オランダ病」
油価の変動にさらされる経済
2 アルジェリア資源開発史
アルジェリア独立戦争
「国家のなかの国家」ソナトラックの誕生と重工業化の時代
重工業化の挫折と一九八八年一〇月暴動
危機の一〇年──なぜテロリストの温床となったのか
アルジェリアの悪夢
テロ実行犯の実像
3 「プーヴォワール」に支配された国
ブーテフリカ大統領への期待から失望へ
誰も予想しえなかった長期政権
ブーテフリカ大統領はなぜ権力を握りつづけたのか
取り残される民衆
外資に依存する公共投資政策
アルジェリアはどこに向かうのか
第5章 絶望の国のダイヤモンド
1 紛争と先進国の影
紛争多発地帯としてのアフリカ
アフリカの紛争地ではなにが起きていたのか
「血塗られたダイヤモンド」とアフリカ
2 絶望の国──コンゴ民主共和国の歴史
「アフリカの心臓」
植民地統治下の「赤いゴム」の国
コンゴの独立とは何であったのか
「ザイール化」政策
「ザイール化」政策の挫折
モブツ王国はなぜ維持できたのか
東西冷戦構造の落とし子「虚栄の権力者」
冷戦終結から崩壊へ
3 内戦に明け暮れるアフリカ諸国
「アフリカ大戦」とダイヤモンド
なぜダイヤモンド鉱床は制圧しやすいのか
戦費として利用されるダイヤモンド
アンゴラ、シエラレオネの内戦
4 なぜダイヤモンドの密輸はなくならないのか
憎しみを生むダイヤモンド
鉱山街へ一変する村々
原産国での密輸の現状
原石のゆくえ
国際市場に流出しつづけたダイヤモンド
ダイヤモンドはなぜ輝くのか
「紛争ダイヤモンド」とキンバリー・プロセス
それでもダイヤモンド採掘はつづく
第6章 「狩り場」としてのアフリカ農地
1 食料価格の高騰
食料価格高騰の衝撃
「食料の安全保障」
2 農地というフロンティアの発見
「未耕作地」はどこにあるのか
加熱する「ランドグラブ」
農地取引の実際の規模
3 アフリカの大規模土地取引の実態
グローバルな推進主体
事例1 エチオピアのカルトゥリ社
ケニアからエチオピアへ
「狩り場」となるエチオピア
事例2 シエラレオネのアダックス社──標的となるポスト紛争国
「バイオ燃料」という磁力
残されたのは荒地と住民
事例3 モザンビークのプロサバンナ事業計画──日本政府が主導する「三角協力」
プロサバンナ事業計画とは
「悲しみの開発」
4 「底辺への競争」はなぜ止まらないのか
「開発の遅れた」地域の近代化
「ニュー・アライアンス」によって囲い込まれるアフリカ諸国
現代版「新植民地主義」
「貧困の罠」という罠
おわりに
主要参考文献
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