集英社文庫<br> あのこは貴族

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集英社文庫
あのこは貴族

  • 著者名:山内マリコ【著】
  • 価格 ¥649(本体¥590)
  • 集英社(2020/07発売)
  • ポイント 5pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087458756

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内容説明

東京生まれの華子は、箱入り娘として何不自由なく育てられたが20代後半で恋人に振られ、焦ってお見合いを重ねた末にハンサムな弁護士「青木幸一郎」と出会う。一方、東京で働く美紀は地方生まれの上京組。猛勉強の末に慶應大学に入るも金欠で中退し、一時は夜の世界も経験した。腐れ縁の「幸一郎」とのダラダラした関係に悩み中。結婚をめぐる女たちの葛藤と解放を描く、渾身の長編小説。

目次

第一章 東京(とりわけその中心の、とある階層)
第二章 外部(ある地方都市と女子の運命)
第三章 邂逅(女同士の義理、結婚、連鎖)
終章 一年後

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さてさて

288
『ああ、日本は格差社会なんじゃなくて、昔からずっと変わらず、階級社会だったんだ』。そんな風に冷静にこの国を見る視点にハッとさせられるこの作品。そこには、『東京』の『松濤』に暮らす華子と、『地方』の貧しい家族に仕送りを止められた美紀という対象的なふたりの女性の生き様が描かれていました。『上流階級』の描写に雲の上の世界を感じるこの作品。そんなこの国に『見えない壁』の存在を確かに実感もするこの作品。よくぞこんな視点から物語を描いてくださった!と作者の山内マリコさんの鋭い洞察力に驚く他ない、素晴らしい作品でした。2024/12/02

エドワード

250
私も京都から東京の大学へ入った口で、新入生の頃のアウェイ感に大いに共感する。東京生まれ、東京の高校卒の連中はすでに仲間だった。それが華子の言う「東京の真ん中にある、狭い狭い世界。ひっそりしていたが、そこに属している信頼と安心感は絶大だった。」社会階層だ。翻って<外部=地方出身者>の美紀の言う「同じ土地に人が棲みつくことで生まれる、どうしようもない閉塞感と、まったりした居心地のよさ」が奇妙に符合する。東京が地元であるハイクラス。それは貴族。年中行事と作法に縛られる。でも、貴族でない私たちには自由がある。2019/06/11

Aya Murakami

159
ナツイチ2019 地元から遠くの大学に通うために一人暮らしをした経験から、ある地方都市と女子の運命がなかなかに心に響きました。除籍…ではないですが、就活時期とリーマンショックが重なって卒業後の人生計画がうまくいかなかった経験が妙に主人公とリンクして…。 恐らく女性同士でいがみ合わせて、自分の思うようにならない女性に「幸せになるな」というような作中の男性にはこのような人生の苦しみは絶対に理解できないのかもしれませんが。2020/04/01

あきぽん

132
見合いを重ねる深窓の令嬢と、上京後風俗で生計をたてる娘。同じ東京のアラサーでも住む世界の違う2人を結びつけたものは…?金持ちvs貧乏の話はよくあるけど、これはアナ雪のように全ての立場の女性への暖かなエールになっています。2021/06/27

aoringo

98
代々続く医者の娘で家は松濤、有名私立学校出身の本物のお嬢様である華子。周りがどんどん結婚していき焦っている中で、結婚相手としてこれ以上ない男性と出会い幸せの最高潮にいるはずが...無菌室育ちで世間知らずの華子だけど、これがなかなか良い子だった。狭い世界の中で生きていて、自分と同じ階級の人としかやっていけないのだろうと思いきや、人としての成長も見せてくれる。良い予感を感じさせるラストも良かった。人はいつからでも始めることが出来るんだと教えてもらえた。2024/07/19

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