男らしさの終焉

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男らしさの終焉

  • ISBN:9784845918300

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内容説明

ターナー賞アーティストであり異性装者(トランスヴェスタイト)としても知られるグレイソン・ペリーが、新しい時代のジェンダーとしなやかな男性のあり方を模索する─!


本書を読みながら、「男らしさ」ってなんなのかと考え、自分の頭の中に浮かんだ言葉でもっともしっくりときたのは「麻痺」だった。そういうことにしておくとか、気付かないふりをするとか、さすがにこれくらいイイだろとか、真剣に考えないように頭を麻痺させることで「力」を顕示する。(『ハーバーズ バザー』2020年3月号より)
――武田砂鉄(ライター)


痛快、辛辣、そして真摯。「旧来型の男らしさを尊ぶ男たちは、架空の組織である男性省のトップから舌打ちされるのを恐れている」「男性性とは主に、ペニスをもつ人々にしつけられた感情の構成」という考え方に、なるほどねと膝を打ちました。
――ジェーン・スー(コラムニスト)


グレイソン・ペリーは、12歳の時に自分の男性性に疑問を抱き、やがて女性の服を着ることに魅力を感じるようになりました。暴力的な継父など周囲の男性たちやジェンダーの縛りのせいで苦しんだ経験をもつ彼は、男性の最大の敵は、男性自身だと言います。男性性の被害者は女性だけではありません。男性自身もまたジェンダーを演じることに駆り立てられている犠牲者といえます。

大抵の男性はいい人で道理をわきまえています。しかし、乱暴な人間、レイピスト、犯罪者、殺人者、脱税者、汚職政治家、セックス中毒、ディナーで退屈な話をするのは、なぜ男性ばかりなのでしょうか。

世界は絶えず変化しています。男性にも変化が必要なのです。マッチョで時代遅れの男らしさと距離を置き、それとは別の男らしさを受け入れることで、世界にポジティブな変化をもたらすことができるのです。

本書でペリーは人種、階級、性別、セクシュアリティ、経済学、人類学、社会学、および心理学など、さまざまな分野を横断しながら、冷静な(時には風刺を交えて)分析をしています。そして、本書の最後に、男性向けの未来のマニフェストを提示します。

《男性の権利》
傷ついていい権利
弱くなる権利
間違える権利
直感で動く権利
わからないと言える権利
気まぐれでいい権利
柔軟でいる権利
これらを恥ずかしがらない権利

本書が、社会で当たり前とされている男性像、男らしさの固定観念から自由になり、新しい世界に踏み出す一歩となることを静かに願います。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

R

41
男らしさという前時代的な価値観の滅びと、それにより困るであろう人々、世界を哀れむでもないが、語った本でした。ステレオタイプな男らしさというもの、その価値観というのがそういう人たちが作ったものであり、またそれを目指すことで窮屈な生き方になっている男の多さ、泣かされる女の多さ、それは世界のゆがみではないかと思わされる内容でした。世界が多様性という価値観を見出して、古臭いそれこれは滅びていくであろう、その哀惜も見えるようでありました。2020/05/26

マリリン

34
ジェンダーを男性の別視点から書かれているのが面白い。性差別を感じているのは男性も然りだとは意外だったが当然かも。 「4.客観主義という殻」の《性衝動とジェンダーにおける力関係》は、女性では理解できない部分もある。 著者が挙げる男性の権利=傷つく・弱くなる・間違える・直感で動く・わからないと言える・気まぐれでいい・柔軟でいる・これらを恥ずかしがらない... ふと思った、男性が訳もなく激怒する背景には刷り込まれた「男性性」があるのか...と。本書は2019年発行。「男性性」はあまり意識していないが男性は如何。2020/09/21

shikashika555

33
むむ。お国柄の違いは文化の違い。 楽しみにしてたけど、自分が目にする現実とは随分違う実例が多く、イマイチ乗り切れずに読了。2020/06/19

nbhd

18
著者がいう「デフォルトマン」というのは、ややっこしい男だ(定義的には白人・ミドルクラス・異性愛者を指す)。まず自分に疑問を持たず、オレがスタンダート。しかも「男らしくあれ」と言っちゃう古い男性と違い、ある程度わきまえているから、よりややっこしい。思うに、LGBTとかの話にふれて「俺、そういうのわかってるから」って言うような(妄想だけど、筋トレしてそうだ)。でさらに、ややっこしいのが「デフォルトマンの内面化」。デフォルトマンの周辺の人が「あの人は正しい」として、ひるがえって自己嫌悪に陥る展開。人間って複雑。2021/01/21

ganesha

9
「女性の格好をすることで男性のあり方をもっと鋭く考えられるようになった」英国人アーティストによる男性性批判。19世紀まではピンクは男の子に、青は女の子にふさわしい色だったこと、異性婚でも同性婚でも既婚男性は独身男性より平均寿命が長いことが印象に残った。2022/04/23

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