内容説明
「精度がよくて長もちする」ダッチワイフから論をはじめ、表層的な「ナルホドどまりを好む」時代の「惰性」を痛撃し、孤立して見える「尖端の表現」を集合し、強く呼応する――最も現代的な感性と思考に立つ富岡多恵子の、平明な論理と鋭い説得力を持つ、時代を撃つ第一級のエッセイ。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
A.T
21
ダッチワイフの納品は「娘の嫁入り」、受け取る側には「伴侶」という意外なほど真剣な関係を結ぶわけは、ヒトガタと呼ばれた呪術の原型としての人形と人間の関係から続いてきてた。20歳の日記を30年後に読み返すことをネタにした阿部昭氏の小説「緑の年の日記」をめぐる私小説と私生活の虚構の関係が見え透く、一方雑誌連載「つげ義春日記」は連載するうちに日々のディテールで成り立つ独特のストーリーを編む…などなど。1989年文庫初版ながらも現代的な目線が滅法鋭い10篇。2020/04/22
しゅん
9
ダッチワイフ、私小説、料理、対談、戦時の記録、非合法活動下の女たちなどなど、題材バラバラな10の批評集。その中で、女性が言葉を扱い小説を書くとは何かという、著者にとって切実な問いが少しずつ迫っていくようなつくりで、ガっと面白く読ませる文でもないし、着実に論理と証拠を固めていく類のものでもない。曖昧で漠然とした流れの中に芯の強さを感じさせる。自分が「飽きた」という詩に対する認識を開示した「「溝跨ぎ」回想」では、詩がどんなに悪や自由を気取ったところで、詩の本質は善良で健全なままだと喝破している。納得する。2020/10/16
毒モナカジャンボ
1
プロの仕事。面白さが現役。2024/02/05
sk
1
ダッチワイフのくだりがとても良かった。2023/07/24
Y
0
感服2024/11/04