内容説明
サダト、ムバラク、フセイン一族――政官中枢に近づき暗躍した空手家がいた
中東で秘密警察や政府要人に空手を指導、外国製品の闇ルート販売とカジノ経営に乗り出す。
命運を賭したビジネスがイラク戦争開戦により頓挫した男は、ナイルに散った……。
200万人に及ぶ“空手の種”を撒いたその光と闇の濃い人生を描くノンフィクション!
1970年、映画「アラビアのロレンス」に憧れシリアに向かった岡本秀樹。空手の稽古を通じて、
アラブ民族に自立への誇りと現地の活気をもたらしていく。稽古を通じ築いた政官中枢との
人脈を生かしエジプト、イラクでビジネスに挑むが、イラク戦争勃発により計画は暗礁に乗り上げる。
すべてを失った彼が、たどり着いた場所とは――。
日本の外務省に徹底的に嫌われながら、灼熱の地でアラブ民族に
“自立の精神”を刻んだ男――構想十八年、国際ジャーナリストが満を持して贈る!
序章 「オカモト」が生まれた日
第一章 取材ビザを求めて(イラク前編)
第二章 空手との出会い(日本編)
第三章 中東の空手家(シリア・レバノン編)
第四章 闇商売に堕ちる(エジプト編)
第五章 最後の賭け(イラク後編)
終章 岡本が遺したもの
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
アリーマ
17
1970年にシリアに渡り、文字通り拳一つで中東に空手ブームを立ち上げ、エジプトやイラクの政府上層部と強力なコネを築き上げた男の話。ワタシは八十年代終わりから2000年代くらいにかけてエジプトといろいろ関わりがあったので、この人の話はいろいろ聞いていた。実に毀誉褒貶の激しい人だったのだが、その実像がかなりよくわかる一冊。アラブ圏の各国の人間模様が目に浮かぶようで、面白く読んだ。文章がどうも泥臭くてやや読みにくいのが難。★★★★2020/09/30
チェアー
11
空手をアラブに広めた偉人か。それとも私生活がはちゃめちゃの政商か。取り上げられている岡本秀樹は、その両方がシームレスにつながっている人だった。彼にとって人生とは、壁を倒して前に進むものだったのだろうし、壁が倒れなければトンネルを掘ってでも向こう側にいくべきものだったのだろう。 筆者の取材力がすごい。丹念に関係者から聞き取り、主人公を立体化した。とにかく面白い。#ニコカド2020 2020/10/24
うっかり呑兵衛
4
Kindle Unlimited。岡本秀樹という人の一代記。生前の本人へのインタビューや、その周囲の人物の話や当時の資料を通して、その光と闇を書き出している。スケールの大きな方だったことはよく分かる。空手普及のエピソードは読んでいてワクワクした。リアル「異世界」モノ。まぁ岡本氏自体は、自分とは思想的にもタイプ的にも合わない方だろうけれども。でもその言葉の幾つかは心に引っかかるものもあった。2023/03/16
本かくよ・よむよ
3
アラブに空手を広めた一人の日本人のスケールの大きさに驚くばかり。功績だけでなく、深入りしなければ決して知ることがなかったであろう裏の部分まで書かれていて、とても面白かった。2024/11/28
半木 糺
2
アラブ世界に空手を伝え普及させた岡本秀樹の評伝。凄まじいのは空手の伝承以上に現地で様々な人脈に食い込み、ビジネスを展開していたことである。ほとんどその姿は戦前の大陸浪人というものであり、良くも悪くもスケールの大きさを感じさせる。岡本は空手家というよりも大陸浪人の戦後版だったのであろう。2026/01/23




