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内容説明
ベストセラー『資本主義の終焉と歴史の危機』著者・水野和夫と、「ミスター円」こと榊原英資。ともに近代資本主義がいま、最終局面に入っていると見る二人が、資本主義の先にどのような世界が待っているのかを解き明かす。「より速く、より遠くに、より合理的に」といった近代の行動原理では立ちいかなくなった私たちの社会。グローバリゼーションの進展でフロンティアは消失し、先進各国は低成長時代に入った。もはや資本を投下しても利益を生まない超低金利が長期にわたって続く「利子率革命」が先進国の大半で進行し、各国の中間層は破壊され、国民国家は「資本国家」へと変貌するに至っている。はたして終局を迎えた資本主義の先には、どのような世界が待っているのか。ポストモダンの新潮流を読み解く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
速読おやじ
16
たまには難しい本も読んでみる。水野氏の話は深くて勉強になる。空間に限界がある中でかつてのような成長神話に基づく資本主義には限界があるということに向き合う時期なのかもしれない。Amazonプライムで一時間以内に届かなくてもいいじゃないか、24時間コンビニが空いてなくてもいいじゃないか。そう、もうこれ以上合理的にならなくとも。だから2%成長なんてしなくても大丈夫。「よりゆっくり、より近く、より寛容に」という言葉は深遠だ。成長よりも不平等の解消や文明の衝突を防ぐことの方が重要な気がする。2016/04/13
呼戯人
15
共著だが、水野和夫の書いた部分、発言した部分だけが面白かった。昨年の「資本主義の終焉と歴史の危機」に重なる発言が多かったが、しかし資本主義の終焉の証拠はますます出そろってきたし、その先には新中世主義の世界が広がってゆくだろうという見通しが出てきた。しかし、中産階級が崩落していく現実に対して有効な手立てを用意できてるわけではない。世界の中心に何が来るかも見えないし、周縁だけが格差社会の中ではっきりしてきているという現状が無残に思えた。1%の連中はうまく金儲けをしていくのだろうが、我々99%は貧困なままだ。2015/12/27
hk
13
「蒐集」 水野和夫節は本作でも絶好調だ。「収集」としないところに妥協を許さぬ和夫イズムがある。ちなみに読みは「しゅうしゅう」だ。さて閑話休題。キリスト教の爛熟に伴い「知恵と時間」は神のモノとして封印された。だが「1215年」にカトリック教会が金利を33%上限枠で解禁し時間を商品化したのだ。いわゆる規制緩和である。これにより貨幣が石ころから種子にかわり、増殖する資本となった。それから紆余曲折あり800年を経た「2015年」。資本主義はゼロ金利へと先祖返りしている。種子だった貨幣が石ころに回帰している訳だ。2016/02/16
まさにい
11
平成17年に商法が改正され商法会社編が会社法になる。丁度公認会計士用のテキストを作っていたので、この改正を必死で学ぶ。分からなかったのが、新株予約権、この有利発行の概念。この疑問を突き詰めていくと、資本主義てな~に?という素朴な疑問につきあたった。よくよく考えてみると資本主義の発生は、ある特定の地域の、ある特定の宗教のもとで作られた一つの制度にすぎないのではとの考えが浮かぶ。そしてこのままだとこの資本主義も終焉を迎えるのではと。友人に話しても理解してくれるものはいなかった。そしてこの本に出会う。2016/05/19
ちゅーとろ
9
今主流の成長志向・改革志向・インフレ志向の経済議論の真反対の現在を豊かな世界と捉えている実務家榊原英資+経済学者水野和夫の共著。失われた20年を成熟の20年ととらえ、世界経済の状況と日本の状況を現実的・歴史的に捉えているところに納得。日本は格差が諸外国より小さい、平均寿命・健康寿命が長い、国土の森林比率が高いなど積極的に捉えるところが新鮮だ。また、江戸初期の急成長から元禄・文化文政のゼロ成長をみて江戸文化が花開いたことを参考に、これから文化に注力するべきという提案も素晴らしい。頭の切り替えになった。2017/08/15