舌を抜かれる女たち

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舌を抜かれる女たち

  • ISBN:9784794971647

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内容説明

メドゥーサ、ピロメラ、ヒラリー・クリントン、テリーザ・メイ…。歴史上長らく、女性たちは公の場で語ることを封じられ、発言力のある女性は忌み嫌われてきた。古代ギリシア・ローマ以来の文芸・美術をひも解くと、見えてくるのは現代社会と地続きにあるミソジニーのルーツ。軽やかなウィットをたずさえて、西洋古典と現代を縦横無尽に行き来しながら、女性の声を奪い続けている伝統の輪郭をあぶり出す。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

71
原題「WOMEN AND POWER」表紙はピカソ「Struggle」テレウスがピロメラを犯す絵。ケンブリッジ大学古典学教授メアリー・ビアードが2014年と2017年にイギリスの文芸誌主催の講演をまとめたもの。いかに女性が権力とは離された存在であるかということを紀元前のホメロス「オデュッセイア」から古代ギリシャの神話、2016年トランプが選挙戦でクリントンをメドゥーサの首像に喩えた、などを例に挙げて現代まで続いていることを示す。男性は女性が意見を言う内容ではなく、発言そのものをなかったことにしようとする⇒2020/02/20

たまきら

31
邦題が秀逸。女であること=一歩下がって黙って夫を支える。貞女は二夫に見えずとか、…こういうのって万国共通なのね。庇護のない弱い立場の女性の権利を侵害する男たちを様々な文学作品や歴史から引用し、女性側の自信のなさなどにも言及してある短いのに中身の濃い一冊です。彼女のレイプ体験と#MeToo運動への言葉は、「もう隠さないでいいんだ!」という恥と苦悩を超えた解放感に包まれていました。2021/08/24

かもめ通信

22
ケンブリッジ大学古典学教授のメアリー・ビアードが、2014年と2017年に大英博物館で行ったイギリスの大手文芸誌『ロンドン・レヴュー・オブ・ブックス』(LRB)主催の講演を元に編集されているだけあって、フェミニズム書評の観点からも興味深く、またまた読みたい本や再読したい本が増えてしまった。2020/04/13

katoyann

18
女性を権力から切り離す文化的ステレオタイプについて、古代ローマの物語などを例として、古典学の知見から説明した講演録である。 「舌を抜かれる」というのは、女性が発言を奪われることの隠喩だが、西欧の歴史ではレイプ被害に遭った女性の舌が切り抜かれるという話があり、シェイクスピア作品にも登場する。 こうした古典に描かれてきたステレオタイプは現代にも根強く残り、発言する女性を敵視し、貶める男性の下品で憎悪に満ちた表現がオンラインに跋扈するという。例えば、ヒラリー・クリントンはその標的とされた。刺激的な論考だ。2021/04/06

ゆまたろ

10
女性が声を上げることが軽視されるのは、ギリシャ、ローマ時代に遡る?これって日本にも当てはまるのかな?でも、現代の政治家でも、女の叩かれ方と男の叩かれ方が違うというのは納得。私たち女もすっかり凝り固まった考え方に洗脳されてるものなぁ。2020/02/08

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