内容説明
インターネット上で「世界で最も治安の悪い都市」として語り継がれる南アフリカ共和国のヨハネスブルグ。
本書は、ヨハネスブルグにある新聞社にジャーナリストのインターンとして赴任した著者が、都市の状態やそこで生活する人々の姿を克明に記録したものである。
殺人、強盗、ドラッグ、スラム、違法鉱山……。
ヨハネスブルグにはこの世のあらゆる犯罪が集まっていた。そしてアパルトヘイト撤廃から長い年月が過ぎても、いまだに色濃く残る人種差別が横たわっている。強盗を生業にする男に取材をすると、その男はこう語った。
「強盗をするときに恐怖を感じることはない。俺は自分自身を信じている」
想像を絶する出来事が次々に起こり、これまでの筆者の常識が壊されていく。ヨハネスブルグの真の姿に誰もが震撼する。
【帯で推薦! 丸山ゴンザレス】
貧困、差別、暴力、憎悪……。想像しうるヤバさのすべてが南アにはある
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミライ
49
「世界で最も治安の悪い都市」と言われる、南アフリカ共和国のヨハネスブルグに、著者が実際に足を踏み入れ取材したノンフィクション。家には(強盗に侵入されないために)電流フェンスが設置されており、ドラッグが蔓延、スラム街では強盗を生業にしている人も多いなど、とにかく危険な匂いしかしない。警官の汚職が多く、警察が機能しいないのも大きな問題。「南アはアパルトヘイト後にいい感じになった国」というイメージがある人にはぜひ読んでもらいたい一冊。本書の最後の方に出てくる表紙の人物が最凶か。2020/07/27
DEE
14
著者は日本でも記者として活躍しながら、ニューヨーク市立大学でジャーナリズムを学んだ。そのインターン先がヨハネスブルク。 なんとなく軽いタイトルに反して、格差や貧困、そしてアパルトヘイトが遺した傷跡と内容は硬派。表向きには差別は撤廃されたのだけど、いくら法律を変えても人の意識を変えるのは簡単ではない。そしてそこに蔓延るヤバい麻薬。不安や憤りはそんなことぐらいでしか解消できない社会が悲しい。叩き上げのジャーナリストによるしっかり芯のあるドキュメント。2020/06/06
nobu23
5
治安の悪さでネット上でも都市伝説のようにネタにされる、南アフリカのヨハネスブルグに、アメリカのジャーナリズムの大学院の課題として訪れた際の体験記。 白人と黒人のそれぞれの視点から見た貧困などのアパルトヘイトの影響が描かれている。テーマは重いが内容や文体が読みやすく、スイスイと読めた。2021/04/11
garth
4
ソウェトのホーム・パーティ! 世界最悪の麻薬ニャオペ! 最初2chのコピペからはじまるあたりはどうしてくれようかと思ったが、最終的にはそれなり。2020/05/17
2n2n
3
①筆者には南アを取材する際に「アフリカをあたかもこの世の地獄のように描いてステレオタイプを形成させるような記事を書いてはならない」という思いが念頭ににあったはずなのだが、取材を通して五感で感じとったありのままを報告したら、結果的に悲惨な話ばかりになってしまったという。②1994年にアパルトヘイトは撤廃されたが、南アの暮らしは一向に良くならず、今では自由主義の理念が素晴らしいものだと信じることもできなくなっているという、今世界中のあらゆるところで起きていることと似たようなことが、ここでも起きているようだ。2021/02/21