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内容説明
本書では「マクロ実証会計研究(Macro-Accounting)」と呼ばれる研究を紹介する。「マクロ実証会計研究」では、個別企業の会計情報をそのまま分析せずに、実証分析に入る時にまず平均や合計等の方法で国内の上場企業すべての会計情報をひとまとめに「集約」する。 例えば、国内の上場企業の利益率を平均すれば、それは国内上場企業全体の経営状態を表す情報となる。上場企業の平均利益率が高まれば、それは上場企業の業績が一般に改善していることを示すからである。また、国内の上場企業の利益率の標準偏差を取れば、それは国内上場企業の業績格差を表す情報となる。
このように企業の会計情報を個別に見るのではなく、一国の上場企業を総体としてとらえる情報を作ることで、会計研究者が財務会計の機能としてあまり想定してこなかった使い方もできるようになる。その代表例が、上場企業の会計情報を用いたマクロ経済研究である。
目次
第1章 マクロ実証会計への招待
第2章 マクロ経済予測における会計情報の有用性
第3章 集約利益と将来のGDP成長率との関係の源泉はどこにある?
第4章 業績格差の特徴とその経済予測への活用
第5章 マクロ実証会計研究の展望
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
サンセット
2
GDPなどマクロ指標発表後の、個別企業の会計情報の反応など見るのがMacro-to-Micro。個別の会計情報を集約して指標の予測などするのがMicro-to-Macro。会計利益(12か月分)と株式リターンの推移を見ると、発表前の1年間でほぼ株価が織り込まれている(1968年)。GDP速報値には法人企業統計の情報が入ってないが、上場企業の集約利益を入れると改善する(GDPの営業余剰は税引後営業利益に近い)。集約利益が増えると、企業投資(→PPI)は増える可能性あるが、家計消費(→CPI)は反応しない。2023/08/17