ちくま新書<br> マンガ 認知症

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ちくま新書
マンガ 認知症

  • ISBN:9784480073228

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内容説明

大好きな祖母が認知症になってしまい、母と二人で介護に取り組むマンガ家、ニコ。人が変わってしまったかのような祖母との生活に疲れ果てたニコたちの前に、認知症の心理学の専門家、サトー先生が現れて……? 「お金を盗られた」と言うのはなぜ? 突然怒りだすのはどうして? 認知症の人の心のなかを、マンガでわかりやすく解説します。認知症の人が既に五〇〇万人を超え、誰もが認知症になったり、認知症介護をしたりする時代。読めば心がラクになる、現代人の必読書!

目次

序章 認知症ってなんですか?
認知症を心理学的に研究するということ
認知症とはなにか
予備軍も含めれば日本に一〇〇〇万人
認知・認知機能とはなにか
原因疾患と認知機能障害の関係
老化による物忘れと認知症の違い
「おかしいな」と思ったら
第1章 「お金を盗られた」「強盗にあった」と言うのはなぜ?
中核症状と周辺症状
物盗られ妄想の原因
自己防衛としての物盗られ妄想
身近な人を疑う理由
認知症と薬
薬をやめてみる
第2章 同じことを何度も聞いてくるのはなぜ?
さまざまな記憶の種類
短期記憶と長期記憶──陳述記憶のプロセス
エピソード記憶障害の原因
符号化、貯蔵、検索──記憶のモデル
未来の予定がわからないことの不安
何度でも同じことを聞く理由
なんのための介護か
第3章 何度注意してもお米を大量に炊いてしまうのはなぜ?
陳述記憶と非陳述記憶
手続き的記憶が残る理由
繰り返される行動には、その人のアイデンティティが現われる
同じものを大量に買ってしまうときは
第4章 突然怒りだすのはどうして?
前頭葉障害で、行動のコントロールが難しく
注意機能が低下し、気が散りやすくなる
前頭側頭型認知症の場合
夕暮れ症候群
偶然見つけたヒント
会話が重要
ときには放っておくことも有効
第5章 高齢者の車の事故はなぜ起きるの?
シニアカーがぶつかってきた
有効視野の低下
自分が今まで何をしていたのかわからない
注意機能の衰え
選択的注意機能と有効視野
一度に二つ以上のことができなくなる
認知症に限らず失敗しやすい「注意の切り替え」
家族の同乗がかえってよくないこともある
運転が苦手になるのは、認知症の人に限らない
第6章 介護者につきまとうのはどうして?
遂行(実行)機能障害
目標・計画・実行のどこができないのか
できない自分に傷ついている
押し売りに引っかかってしまうのは?
見当識障害という問題
過去と現在と未来をつなげる
実行機能と遂行機能
第7章 家にいるのに「帰りたい」と言うのはなぜ?
見当識とはなにか
記憶の低下との関係
幼児期の記憶のあり方と似ている
婆ルさんはどこに帰りたいのか
第8章 これってもしかして「徘徊」ですか?
目的もなくうろついているわけではない
「徘徊」はなぜ起きるのか
頭の中の地図がつくれなくなる
建物と自分の位置関係がわからなくなる
鏡の不思議
徘徊が出てきたら、どうしたらいいのか
徘徊がおさまるのはいいことか
第9章 排泄を失敗してしまうのはなぜ?
排泄の失敗が増える理由
失敗を認めることは、プライドが許さない
弄便で自宅介護が限界に
なぜ食べられないものを口に入れてしまうのか
本人のプライドを傷つけないために
第10章 介護に疲れ果てました。どうしたらいいですか?
人間関係はギブ&テイク
「思いどおりにならない」はコントロールのはじまり
「なぜこんなことをするのか?」と考える
心がすれ違うことで、ケアがコントロールに陥る
社会的認知機能の低下と「心の理論」
まずは話を聞くことから
介護を生きがいにしない
番外編 なんでお尻を触るんですかコラー!!
衝動を抑制できない
性欲以外が原因のことも
優しさが逆効果になることも
高齢者の性欲を認める
家族で認知症について話し合える関係に
あとがき ニコ・ニコルソン
あとがき 佐藤眞一
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

読特

87
「失くしてもいないお金を盗まれたと言い張る」「在庫があるのに毎日ご飯を炊く」「急に家を出て徘徊する」「排泄に失敗してしまう」。これらの行動には理由がある。覚えて、貯蔵して、思い出す。その記憶のメカニズムに障害が起きている…年が明け、歳をとる。齢を重ねれば、いずれ体は老化する。脳も例外ではない。頭の働きも鈍くなる。だからといって、苦痛を感じなくなるわけではない。寧ろ、思うようにならない分だけ、苦悩は重い。何故そうする?どうしてそうなる?理解されたい。わかってあげたい。長生きが幸せなことだと感じられるように。2025/01/03

nyaoko

74
ニコさんの漫画はいつも読んでて、婆ルが認知症になり、施設に入るまでの在宅介護がとても大変だったのも「私のおばあちゃん」で読んで泣けました。認知症心理専門のサトー先生とタッグを組んで出されたこの本、介護職としてもう、色々目からウロコでした。どーして夕方になるとみんな家に帰りたくなるのー!どーして汚れたパンツをあちこちに隠すのー!どーして違う記憶になるのー!どーしてどーしての理由が詰まってます。親が認知症になったら、もう影も形も消えてなくなった生家を探すのかと想像して、ゾッとする半分、せつない半分。2020/07/19

ヒデキ

71
両親が、80代になって、考えなくてはならない事柄になってきました。「介護の前に知りたい」このことの意味が、読んでいて理解できた(気になりました) 認知症の方の見え方から解説して貰うことで 自分の考え方が少し変わりました2021/01/19

ホークス

68
2020年刊。ニコ氏は認知症の祖母、母との三人暮らし。祖母の症状が進む中、家族全員が煮詰まっている。そこに研究者である佐藤氏が訪問し、認知症者がどのように感じ、なぜそんな行動をするのか、対策と共に教えてくれる。佐藤氏はマンガの持つ描写力、ニコ氏の表現力を高く評価しており、良いコラボになっている。認知症者が、実は深い孤独の中にいる事を学べたのが有難い。人間関係を「ケアとコントロール」で捉えるという考え方にもハッとした。ケアのつもりが、どうしてもコントロールになっていく。介護の問題に限らない視点として覚えたい2021/05/27

syota

43
「お金や時計を盗られた」「家に帰りたい」「(すでに死去している)おとーちゃんが浮気している」。認知症の老母が度々口にする言葉だ。ああ、ボケたなあ、としか思っていなかったが、この本を読んでなぜそのような言葉が出てくるのか納得した。認知症の症状ごとに実例を挙げ、なぜそうなるのか、どう対処すればいいのかを説明するとともに、介護する側、される側双方の心理状態も描写している。各章の冒頭に置かれた漫画で章の概要を示し、本文で詳述するという構成も秀逸で、とりあえず漫画だけ読んでも大きな収穫がある。→2023/10/23

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