内容説明
三年間引きこもっていた鈴木家の長男・浩一が突然この世を去った。母の悠子はショックのあまり意識を失ってしまう。浩一の四十九日の日、父の幸男と娘の富美は、意識を失ったままの悠子の今後について話し合っていた。そんな中、悠子が病室で意識を取り戻す。しかし、悠子は浩一の死を覚えていなかった……。各種映画賞に輝いた傑作を監督自らが小説化。突然自死した長男と向き合う家族の姿をユーモアたっぷりに描く。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
sayuri
109
テレビドラマ『きのう何食べた?』の監督を務めた野尻克己さんの小説デビュー作。実の兄を自死で亡くした著者の実体験を元に描かれている。三年間、引き籠っていた鈴木家の長男・浩一がある日突然自室で自殺する。鈴木家の父・幸男、母・悠子、妹・富美、物語は3人の視点で交互に語られる。非常にショッキングなテーマでありながら、所々に「嘘」を交えユーモアさえ感じられる。残された遺族の「何故?」考えても答えなど出ない空しさ。家族の葛藤と自罰感情が伝わる。生きる事は簡単ではない。それでも死を選ばずに生きていて欲しいと心から願う。2020/07/25
いろは
39
自死って、耐えられない何かの代償として選ぶのだろうけど、それで全て終わりじゃない。残された者は、その耐えられない何かを代わりに背負って、ずーっと生きていく。文章がキレイだから、読んでいてコレ忘れちゃいそうだったけど、親より先に死んだらダメ。絶対。★★★☆☆2020/12/19
こまり
20
同名の映画を監督自らが小説化。遺族のケアサポートセンターでは、自殺とは言わず自死という。自ら殺したのではなく死を選択したのだと。その言葉ひとつで、気持ちがほんの少しでも救われれば…と思う。きっと何万回もなぜ?と思っただろう。どうして止められなかったんだろうと自分を責めただろう。でも、自分は生きている。時間は掛かるが何とか再生する糸口を探すしかない。突拍子もないウソをついてその場を取り繕う様子がコミカルに描かれていて思わず笑ってしまう。生きていくって、辛くて悲しくて滑稽で、でも面白い、のかもしれない。2020/08/17
けえこ
17
自死した20代男性の残された家族のお話。 浩一はアルゼンチンで働いていると周囲に騙され、それを信じる母悠子、母を騙しながら「イヴちゃん」の謎を追い続ける父と後悔ばかりの妹。残された家族に良いことなんて一つもない。2023/09/04
れんこ
15
引きこもっていた長男の自死で残された家族の話。後追いしようとした妻であり母親を守るため重ね始める嘘。重い内容にかかわらずクスっと笑える描写で一層現実味が増されて、切ない。でも生きて欲しいと思いました。2024/12/13
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