岩波新書<br> 客室乗務員の誕生 - 「おもてなし」化する日本社会

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岩波新書
客室乗務員の誕生 - 「おもてなし」化する日本社会

  • 著者名:山口誠
  • 価格 ¥924(本体¥840)
  • 岩波書店(2020/06発売)
  • ポイント 8pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784004318255

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内容説明

日本独自の発展を遂げ,就職先として盤石の人気を誇る「C A」(ルビ:キャビン・アテンダント).我々はそこにどんな期待を投影してきたのか.エアガール,エアホステス,スチュワーデス……呼称/役割ともに変遷してきた日本の客室乗務員の歴史を通観し,「接客マナー」と「自分磨き」の技法と思考が独特な「おもてなし」の源流となっていく過程を考察する.

目次

はじめに――客室乗務員という日本文化


1章 日本初の「業務」――エアガールの誕生 (一九三一‐四一年)
 1 「客室」と「乗務員」の出現
 2 「空飛ぶ看護師」たちのアメリカ
 3 国策エアガールと嘔吐袋


2章 雲の上の「責務」――着物姿の「客室兵」 (一九五二‐六六年)
 1 敗戦国のスチュワーデス
 2 パンナムと日航
 3 「菊の御紋」の機内サービス
 4 「客室兵」たちの「責務」


3章 低落する「職務」――ジャンボ時代の混迷 (一九六七‐八二年)
 1 「空飛ぶ日本館」のミニスカート
 2 ジャンボジェットという「事件」
 3 「ディスカバー・ジャパン」と鉄道の旅
 4 「アンノン族」は飛行機に乗らない
 5 空港に吹く向かい風


4章 見出された「任務」――接客マナーと「自分磨き」 (一九八三‐九三年)
 1 「訓練センター」と職業意識の高まり
 2 『スチュワーデス物語』の世界
 3 「感性の訓練」という「任務」
 4 「自分磨き」と「自分探し」の時代


5章 相続される「おもてなし」――「CA」の思考 (一九九四‐二〇一二年)
 1 キャビン・アテンダントの誕生
 2 「アルバイト・スチュワーデス」問題
 3 社会沈下と「CA」の浮上
 4 「おもてなし」と品格労働


おわりに――「おもてなし」化する日本社会 (二〇一三‐二〇年)


あとがき

主な引用・参考文献
関連略年表

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

アキ

82
コロナ禍で航空業界は今後一変する可能性を孕む。来年のCA新規採用は打ち切りになった。CAは日本独特の和製英語。米国ではFAである。英語にもない独特な言い回しは1931年エアガールから始まった。その後のスチュワーデスの役割の変遷と航空会社の盛衰、東京オリンピックが決定された際のおもてなしという流行語とそれに伴う対価を求めない感情労働がCAの品格労働につながる様を明らかにする。社会学としてのCAの変遷。著者の「グアムと日本人」でも社会学から見た世界の面白さが味わえたが、著者の主張は薄く今後の展望も見られず残念2020/07/28

おっとー

10
客室乗務員の歴史は古く、景色の案内、乗客の看護といった役割をもって成立した。日本では敗戦によりしばらくの間航空事業は制限されたが、日本航空や全日空の誕生と競合に伴い、客室乗務員はより華やかな存在となる。この中で女性の「自分磨き」を体現する職業イメージも定着し、機内にとどまらず、言葉遣いやマナー講師としても羽ばたいていく。あらゆるものがサービス化し、客(特に外国人観光客)へのおもてなしが求められる時代の中で客室乗務員の役割が重宝され、東京五輪の「おもてなし」スピーチでそれは最高潮に達した感もある。2020/12/06

見もの・読みもの日記

5
日本の客室乗務員の歴史を通観する。女性たちが、好奇や重圧、性差別などを乗り越えて、職業意識を醸成していく姿は好ましいが、「マナーの達人」が即ち「自分磨きの達人」とされ、「自分磨き」を通じて伝統的な価値への同化が期待されるという「おもてなし」神話は、ちょっと気持ち悪い。2020/06/09

本命@ふまにたす

4
「客室乗務員の誕生」というタイトルだが、主に日本における客室乗務員の歴史をその黎明期から現在に至るまで、メディアにおける表象などを手がかりに考察している。そつなくまとめられている印象だが、個々の時代について、更に掘り下げても面白いのではないかと感じられた。2022/10/12

さとちゃん

1
航空機の客室乗務員に着目してその移り変わりから日本の観光業を見ていく、というアプローチの仕方と分析は面白いし、よくまとまっていると思う。しかし、副題の部分は記述も考察も薄いと感じた。2020/11/27

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