内容説明
「新しい宇宙創造説」「ロビンソン物語」「誤謬としての文化」など、名作『ソラリス』の巨人が文学、SF、文化論、宇宙論を換骨奪胎。パロディやパスティーシュも満載の、知的刺激に満ちた<書評集>。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
76
レムはアリストテレスじゃないが、真空など認めたくはなかったのだろう。だからこそ、<存在しない書物>をでっちあげてでも文学の時空の穴を埋めようとしたのだろうか。あるいは、古今の文学時空にも穴はある。その穴の存在を示すため、空無を何処までも完璧に埋める営為を示してみたのだろうか。ドン・キホーテ的な、喜劇的な企図と言うしかない。ま、読者たる吾輩は、生真面目に翻弄されるしかないのだろう。 2021/05/28
そふぃあ
24
冒頭からもう ボ ル ヘ ス じ ゃ ん って思いがすごい。『伝奇集』の存在しない書物や場所がさも実在するような緻密さで描かれた短編たちを読んでるときのあの名状し難い尻の座りの悪さ、あの感覚の再来。 「ギガメシュ」がエグすぎた。多義性のある作品をオマージュした多義性のある作品のすべての参照事項、連想、文化・神話、語源に注釈したその多義性の一部に触れるだけでも発狂しそうになる恐ろしい批評。 不可能を可能にするのは架空の書評だからこそ為せるわざだ。2020/01/30
鼠∞
22
存在しない本の書評集という体の、レムの頭の中を覗いてみたくなるような短編集。後半になるにつれてポストモダン批評じみたチンプンカンプンな文章になっていくので、そこは飛ばし気味に読んだ。最初の、ロビンソン・クルーソーの不気味な異説『ロビンソン物語』が最も読んでみたい架空作品だった。書評として面白かったのが『ユリシーズ』のように『ギルガメッシュ物語』をリライトした『ギガメシュ』、NOSEXなる性欲消滅物質が爆発するという噴飯もののディストピアSF『性爆発』あたりかな。架空とはいえ書評を読むのはやっぱ面白い。2020/02/24
田氏
21
これが文庫化と聞いたときには、いったい何が起こっているのかと思ったものだけど、あのときの自分に「二年後には百年の孤独が文庫化くるで」と言ったら信じるだろうか。とまれ、レムの(たぶん)真髄が詰まったメタフィクションである。前半は、書かれなかった、あるいは書くことが不可能な小説のアイデアの展示会であり、後半に向かうにつれて思弁は文学的なものから社会的なものになっていき、なんやかんやあって、ついにはわれわれの物理宇宙をも飛び出す。それを最初から最後まで貫いているのは、「逆に考えるんだ」的レムみ。レムいんですよ。2024/07/20
みなみ
21
存在しない架空の本の書評を集めた書評集。架空の本のはずなのに、細かすぎる設定や本文が大量に出てきて、圧倒される。本文だけでは味わえない批判的視点も楽しめるという意味では贅沢な本なんだろうけれど、途中では理解がしづらいところもあった。最初の書評が「完全な真空」でこの本全体のことを批評しているかのような体になっているのは、面白い。2023/12/27
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