ちくま学芸文庫<br> 類似と思考 改訂版

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ちくま学芸文庫
類似と思考 改訂版

  • 著者名:鈴木宏昭【著】
  • 価格 ¥1,210(本体¥1,100)
  • 筑摩書房(2020/06発売)
  • GWに本を読もう!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~5/6)
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  • ISBN:9784480099693

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内容説明

判断は類推に支えられる。心はどのようなメカニズムを持つのか。“われわれの認知活動を支えるのは、規則やルールではなく、類似を用いた思考=類推である”。本書は、この一見常識に反する主張を展開したものだ。類推とは、既知の事柄を未知の事柄へ当てはめてみることと考えられている。だが、それだけでは実態に届かない。その二項を包摂するもうひとつの項との関係の中で動的に捉えなければならない。ここに、人間の心理現象に即した新しい理論が提唱される《準抽象化理論》。知識の獲得や発見、仮説の生成、物事の再吟味にも大きな力を発揮する類推とは何か。心の働きの面白さへと誘う認知科学の成果。

目次

はじめに
第1章 ルールに基づく思考と文脈依存性
1・1 内容独立のルール利用
1・2 人間の非論理性:条件文推論
1・3 条件文推論の文脈依存性
1・4 集合関係理解の文脈依存性
1・5 抽象的ルールの利用可能性
1・6 抽象的ルールはなぜ用いられないのか
1・7 知識の文脈依存性
第2章 類似の諸相
2・1 貶められた類似
2・2 概念と類似
2・3 帰納と類似
2・4 記憶と類似
2・5 言語と類似
2・6 学習の転移と類似
2・7 創造と類似
2・8 類似性判断のモデル
第3章 類似を思考へ拡張するために
3・1 特徴とはなにか
3・2 特徴の顕著さとはなにか
3・3 高次認知における類似:構造とゴール
3・4 類似の変動を規定する要因
3・5 類似の次元
3・6 問題解決文脈における類似判断
第4章 類推とはなにか
4・1 類推の基本図式:ベース、ターゲット、写像
4・2 類推における対象、性質、関係
4・3 日常生活における類推
4・4 学問における類推
4・5 社会と類推
4・6 思考のツールとしての類推
4・7 人はいつから類推するか
第5章 類推の認知科学的な研究へ向けて
5・1 プロセスとして類推を考える
5・2 ベースの検索
5・3 写像
5・4 既存の理論の問題点
第6章 準抽象化に基づく類推
6・1 類推はなぜ可能か:カテゴリー化による同一化
6・2 準抽象化
6・3 準抽象化を媒介とした検索と写像
6・4 準抽象化の動的生成
6・5 人間の認知における準抽象化
6・6 まとめ
第7章 類推のこれまで、そしてこれから
7・1 本書は何を主張したのか
7・2 思考の統一理論は可能か
付録 準抽象化理論と他の理論
1 多重制約理論
2 構造写像理論
3 概念メタファー説
4 P-prim理論
5 漸進的写像理論
6 Copycat
参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

りょうみや

29
人間(生き物)の思考の根源は類似(類推)であって規則的思考、論理的思考はその特殊なケースであることを多くの認知科学の実験例を用いて示している。これまでの認知科学の読書でおぼろげながら考えていたことをはっきりと文章化してくれていた。専門的で骨のある内容を文庫本らしく分かりやすく書いてくれている。著者の本2冊目であと2冊読む予定。2022/10/15

テツ

18
人の思考は規則的に論理的に紡がれているわけではなく、自らの内に積み重ねられた経験=過去の出来事から類似なものを探し出すというのが基本であるということ。知識と経験に基づき類推するという行為を膨大に積み重ねた果てに、知性が生まれ創造的な働きが始まるのって言われてみればあたりまえかもしれないけれど気づかなかったな。演繹ではなく類推。人間の思考が全てそこから始まるのなら、類推の種となる経験を積み重ねることだけが思考を深みに導き、真に知的な存在となるための方法なんだろうか。2022/10/16

jackbdc

7
思考とは見ていないものを経験や知識をもとに推測するもの。この推測が本書のテーマ。経験や知識をどのように活用しているかといえば、似た要素を抽出して、それを上手くあてはめる事が出来た場合に、私たちはそれを分ったと捉えるのだろう。本書の学びは、自分の思考を深める場合と他人とのコミュニケーションを円滑にするという両パターンにおいて抽象化力がカギになりそう。自分自身や他人が保有する経験や知識を活用(投射)可能な状態に変化させるのが(準)抽象化である。前者では抽象度を上げ、後者では具体性に配慮する差異はあるだろう。2021/11/03

medihen

7
ヒューマンエラーはなぜ起こるのか考えていて、漠然と「思考におけるルールの適用の失敗や逸脱」が原因では?と思っていたら、本書ではいきなり「思考はルールもとづいて行われるものではない」と断定されていてびっくり。人間の思考では類推が主要な役割を担っているという主張は例を挙げて説明されれば納得できるものの、それではなぜ人はミスを起こすのか、またわからなくなってしまった。2021/02/01

roughfractus02

7
論理は本書のいう思考の一部であり、思考は日常のあらゆる場面で行われている。つまり、思考は脳で行うのではなく、環境や他者と相互作用する身体行為において行うものである、と著者は言う。それゆえ思考は文脈依存的であり、形式化や抽象化を目指すものの、文脈から自由な抽象形式には至らない。本書は、過去のデータを試行錯誤的に写像して未知のターゲットに知を拡張するアナロジーに上記の「準抽象化」の働きを見出し、従来のアナロジー研究を辿りながら、演繹論理を中心においた人工知能とは異なる、類似を中心においた人間の思考を概説する。2020/03/28

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