内容説明
男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)。若くも美しくもない彼女がなぜ――。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳にあることを命じる。その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。各紙誌絶賛の社会派長編。(解説・山本一力)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
明智紫苑
629
ブログや小説家になろうに投稿するための感想文を書くために、スマホアプリでメモを取りながら読む。齋藤孝氏の「三色ボールペン」方式よりも、このやり方の方が個人的には効率が良い(そもそも、小説で三色ボールペンチェックをやるのは無粋な気がする)。実在事件をモチーフにしているのは桐野夏生氏の『グロテスク』と同じだが、あちらが性悪説寄りなのに対して、こちらは性善説寄りの内容だ。ただ、「カジマナ」のモデルになった女性は、そんな他の女性の性善説的な価値観こそを嫌うのかもしれない。2020/05/23
エドワード
494
柚木麻子さん渾身の異色作。山本一力さんの解説にある通り「女性の友情と信頼」を描く点は変わらない。雑誌編集者の里佳と専業主婦の伶子は大学以来の友人。里佳は梶井真奈子という女性が高齢の男性たちを殺した事件を追っていた。取材するごとに深まる謎。食欲と性欲の権化のような梶井の毒に冒されていく里佳と伶子。梶井は本当に殺したのか?食への異様な執着の源は?サスペンスとグルメ、夫婦と家族、笑いもあり、様々なテーマが広がっていく様が圧巻。ちびくろさんぼの虎はバターになったが、果たして死んだのか?原点に童話があるのが面白い。2020/03/10
mae.dat
339
胸焼けした 。初めは有名な事件や経験した事象が導入となっており引き込まれました。でもね。主人公である里佳さんが、もう一人の主役と言って差し支えない梶井真奈子に傾向していくと同時に、儂も堕とされた様でね。気がつけばバターの沼で溺れ、もがいていたのですよ。女性独特の心理描写かなぁ。カジマナの信条かなぁ。それがくどくて、何度も膨満感に似た感覚に陥り、暫くの離脱を余儀なくされる事を繰り返しました。心情の変化とか、展開の工夫とかあったり。最後は幾らか爽やかに終えた様に思いますが、おじさんにはハイカロリー過ぎました。2023/02/21
chinayo
302
あの本当にあった事件、木嶋佳苗がベースになっているのが、料理や女性の外見、手紙の達筆等事実と言われているエピソードが混ざっているので、全てにおいてノンフィクションと勘違いが起き、私の頭もバター化してきた。2025/08/24
FUKUSUKE
290
正に”BUTTER”だ。他にいいタイトルが見当たらない。食べ物の中では動物性油脂――ラードやバターは体に良くないとされてきた。マーガリンに含まれるトランス脂肪酸の過剰摂取は有害であることがわかっても未だにバターは「悪」だと思っている人は多い。一方、マーガリンやオリーブ油と比べてバターは風味もコクもあって「豊か」な味がする。作品としては料理に対する表現力に対して海外(特にイギリス)では絶賛されているらしい。だが、「人の性」を表現するところではズバッと胸を射抜かれ、「これは自分のことだ」と感じることもあった。2025/07/13




