内容説明
警察も自衛隊もしのぐ50万人警備員の真実。
1962年、日本初の民間警備会社・日本警備保障(現セコム)を企業した二人の若者は、1964年の東京五輪で選手村の警備を受注した。彼らに警備を発注した警察官僚が、のちに綜合警備保障(アルソック)を設立する。出自を異にする二つの警備保障会社はテロ、外国人流入、コンビニATMの爆発的増加などを背景に巨大化する。しかし、ますます複雑化する国際関係やテロの脅威、加えて新型コロナウイルスの猖獗の渦中にあって、2021年東京五輪を守れるのか。他の誰によっても成しえなかった、昭和、平成、令和を貫通する「鮮烈な視点」を提示してみせた画期的作品。(2020年6月発行作品)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
k5
61
若者二人がゼロから起こしたセコム。初代内閣調査室長が「武士の商法」で立ち上げたALSOK。双方の事業の拡大の様子のみならず、東京オリンピックや永山事件で両社が交錯する物語はノンフィクションとして抜群の面白さです。。。しかし前段、ちょっと「目くばせ」が多すぎて疲れる本でもあります。取材対象への目くばせはしょうがないとして、石原慎太郎が登場しすぎだろう。ほぼ関係ないのに。2021/01/30
ばんだねいっぺい
22
Alsokとセコムの誕生のストーリー。きなくさい話をもっと深堀りして欲しかった。2020/06/21
tkm66
2
全く猪瀬直樹は文筆家としてまとも。しかも昔ながらにちゃんと読ませる。政治家なんかやらなきゃ・・。2020/06/30
長島芳明
1
今では当たり前の民間警備会社の物語。創立が東京オリンピック前後だったので立ち上げメンバー当事者は健在。時代とともに技術が変わるように、会社のあり方も変わる。そして企業は人の集合体なので「不思議な縁」があるのでワクワクする。中島飛行機も以外な接点がある。まさに「人に歴史あり」私の好きな言葉です。2023/05/07
k_n_a
1
初めて読んだ猪瀬さんの著作。我が国の警備会社の出自、その揺籃期を支えた人々の生涯を掘り起こしていき、現代に繋がる我が国の民間セクターによる安心安全を描く。文庫版の最後には新型コロナウイルスの拡大が現実の脅威として迫り始めた頃に書かれたあとがきがある。現在の感染拡大やアフガン情勢により、本作が文庫化された時点より更に時代は移り変わった。コロナ禍が収束してから読み直すのも、コロナ前後の時代観を比べる上で面白いかも知れない。2021/09/06