内容説明
2020年1月下旬、クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」号に乗り込んだ乗客約2700人は、中国・ベトナム・台湾を巡る船旅を満喫していた。しかし、2月3日の夕方、香港で下船した乗客が新型コロナウイルスに感染していたことが船内放送で流れた瞬間、楽しかった旅の思い出も暗転した。その日、横浜港からそれぞれの帰路につくはずだったのに、検疫のために横浜・大黒ふ頭に停泊することを余儀なくされたのだ。検査の結果、まず10人の感染が発覚、さらに感染者数はふくらみ、隔離されていたにもかかわらず、4000人近い乗員・乗客のうち約800人に感染、7人が死亡した。発覚以来、2週間以上閉ざされた空間でいったい何が起きていたのか。浮き彫りになったのは、危機における政府や船会社の存在感の希薄さと無責任さだった。運悪くこの船に乗り合わせた乗客が克明に描く、不安と混乱の2週間。
・序章 クルーズ船の光と影
・出港 旅のはじまり
・帰港 危機感なしの隔離前日
・隔離 自由を奪われた船内
・不安 隔離は次のフェーズへ
・疑念 下船はいつはじまる?
・解放 ようやく下船、そして下船後
・対談 小柳 剛×加藤邦英 「乗客には船会社や国の顔はまったく見えなかった」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジュースの素
9
この春のテレビニュースは毎日の様にプリンセス号が登場した。その中に監禁されていた人が何千人もいたわけだ。高齢者が多数なので、当然ながらクスリが必要だった。外国籍の船ではクルーの言葉もテレビの受信も「日本」ではない。横浜に停泊していても日本のマスコミ情報が入らないのは理不尽な話。厚労省の役人の言葉の白々しいこと!著者が言うように、そのまま今の日本の権力者を示している。これから更にコロナを経て国のあり方が問われるなぁ。2020/08/09
多津子
5
隔離が決まり、先の見えない日々と現場の混乱を目の当たりにして不安なのはわかる。船会社や厚生労働省の対応も完璧だとは思わないし問題提起も必要だろう。だがそれにしても文句がすごくて読んでいて辟易してしまう。その主な原因は薬がなかなか届かなかったからではないだろうか。持病がある者にとって薬が切れることは体調不良を意味し、それはメンタルに直結する。当時他の乗客のSNSも追いかけていたが、薬問題のない方は冷静だったように思う。外部の記者と頻繁にやり取りしていた割には情報を得るのが下手なのではないかと思ってしまった。2021/04/25
メアリアン
2
一言で言い表すなら、想像力の欠片も持たない年寄りの文句垂れ日記。 同情を求めるように持病の話を持ち出しているが、命に関わるウイルスの問題と比べたらなんて些細な事だろう。 著者には感謝の心というものが微塵も無いらしい、捻くれて育った人間なのだと思う。 自分たち老人を助けるために必死に動いてくれている人間に対する文句しか書いていない。本当に。 特に酷いと思ったのが、関係のないダイヤモンドプリンセス号への批判。格安で船に乗っている癖に、その値段以上のサービスを求める迷惑な客そのもの。2020/08/23
上里和音
1
初めに。このコロナ禍で亡くなった方々のご冥福を祈ります。 2020年、遠い武漢で起きた肺炎がひしひしと迫る頃。きっとこの手記は後に当事者の資料として残るだろう。 人生最後の旅かもしれないクルージング。横浜での下船を目の前にして突然の隔離。責任者不在への怒り、自分たちの肉体的な不安感。 ダイヤモンドプリンセス号の中で何が起きていたのか? 報道ではわからなかった内部のことがわかる。 2020/12/07
Bolero
1
非常にリアルな体験記と拝読。ドキュメンタリーにするにはもっと多くの視点が必要だろうが、一般の方の手記なだけにあの日あの船の中での不安がリアルに伝わった。おそらくこのご夫婦は大変ラッキーな例で、もっと過酷な隔離生活を送られた方、船内クルーの方など多面的に捉えた取材記録があればそれもぜひ読みたい。2020/12/07
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