内容説明
丘の上の屋敷には、盲目の吸血鬼が住んでいる。そういう噂を聞いたのは、僕がとても小さな頃だ。唯一の肉親であった祖父を喪った僕は、件の女性、霧雨セナに引き取られた。彼女の正体は噂通りの吸血鬼。ただし、性格は心配性でおせっかいの姉といった感じで、おまけに物理的な距離が常に近い。そんな彼女のまわりには、一つ目の怪物、犬の郵便配達員など、多種多様な生き物が溢れていて、それらが視える僕には特別な力が宿っているらしい。未知の世界で新しい家族――吸血鬼・セナをはじめとする人外の存在と絆を深めるラブコメディ。第8回集英社ライトノベル新人賞《銀賞》受賞作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
37
唯一の肉親だった祖父を喪った波野日向が、丘の上の屋敷に住んでいる盲目の吸血鬼霧雨セナに引き取られ、未知の世界で新しい家族や人外の存在たちと絆を深めてゆくファンタジー。彼を大切に思うあまり甘やかしお姉ちゃんと化すセナには苦笑いでしたけど、共に過ごすうちに出会った一つ目の怪物や、犬の郵便屋といった人外の存在、疎遠だった幼馴染・心音、気の置けない親友・佐伯たちとのエピソードがあって、明らかになってゆく一族が果たしていた役割にきちんと向き合うようになった日向と、周囲の関係がこれからどうなるのか楽しみな作品ですね。2020/05/30
しぇん
24
最後の身寄りを亡くした少年を引き取ってくれたのは、盲目の半吸血鬼でと。そこから始まる幻想種と、主人公一族と吸血鬼のかかわりの物語。基本まったり優しいお話で良かったです。幼馴染や親友の話も上手く絡めていたのも好印象です。2020/07/04
まっさん
24
★★★ 集英社ライトノベル新人賞銀賞受賞作品。個人的にそこまで刺さらなかったかなぁ…あらすじにもあるようなラブコメ要素や物語のヒロインである吸血鬼・セナと主人公との絡みがそもそもあまり描かれていない時点で若干肩透かしを食らった感じ。物語の完成度としては高い方だと思うが、全体的に小さく纏まっている感じ。次巻以降続くのであればもう少しラブコメ要素を増やして欲しいなと思う。2020/06/14
ツバサ
24
世界観やそれぞれのキャラクターが背負っているものがよく描けているので、感情が揺さぶられ続ける1冊でした。特に友人の彼の下りは目頭が熱くなりました。作品にのめりこめたので続きが読みたい気持ちが強いです。2020/05/23
げんごろう
15
幻想種と呼ばれる人外の存在とのエピソードを通し、心を揺さぶられながらも成長する主人公を素直に応援したい気持ちになりました。 ちょっぴりシリアスだけどとても温かくて素敵な作品ですね。 続巻が刊行されるなら、ポンコツ属性のある吸血鬼お姉さんや幼なじみ少女とのラブコメにも期待したいです。2020/05/27