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内容説明
中国にかわり技能実習生の最大の供給国となったベトナム。「労働力輸出」を掲げる政府の後押しもあり、日本を目指す農村部の若者たち。多額の借金を背負ってまで来日した彼らの夢は「三〇〇万円貯金する」こと。故郷に錦を飾る者もいれば、悪徳ブローカーの餌食となる者もいる。劣悪な企業から逃げ出す失踪者は後を絶たない。日越の関係機関、実習生、支援団体を取材し、単純労働者の受け入れ先進国・韓国にも飛んだ。国際的な労働力移動の舞台裏を全部書く。
目次
序章 ベトナム人技能実習生になりたい
ニッポンの高卒
三年で家が建つ
夢の国ニッポン
技能実習制度の目的は国際貢献
原型は大企業の社員教育
制度創設は一九九三年
主役は中国からベトナムへ
第一章 なぜ、借金をしてまで日本を目指すのか
技能実習生の八割は高卒
軍隊式の教育施設
出国前に約半年間の全寮生活
企業は入国時にN4を期待
カエルは捕まえて食べない
日本は正しい国ではない
ライチ農家の月収は二万円
技能実習で貯めたお金でビジネス
兄の姿を見て弟も日本を目指す
技能実習生募集ポスターの宣伝文句
西欧諸国もベトナム人材を開拓
職種によって手数料が変わる
台湾はライバルではない
目標は三年で三〇〇万円の貯金
住居は一人当たり四・五平米以上を確保
帰国後に年金の脱退一時金
採用予定人数の二~三倍を面接
親の月収は一万円から一万五〇〇〇円
不合格が続くと退校処分
面接の翌日は家庭訪問
買ったミシンで縫製工場を開設
帰国後は日系企業で働く
技能実習制度のタブー「前職要件」
帰国後に役立つのは「日本語」
大学でITを学び、日本で魚を切る
小学校時代にドラえもんとコナン
就職先としての送り出し機関
第二章 なぜ、派遣費用に一〇〇万円もかかるのか
日本語飛び交う売春クラブ
送り出し機関が日本企業を接待
監理団体とは何か
送り出し機関とは何か
営業マンが残した裏金の提案書
ベトナムから監理団体にテレアポ
日本国内でも肉弾接待
キックバックは現金手渡し
実習生の支払い平均額は八〇四〇ドル
技能実習生は北部が中心
送り出し機関設立に巨額のわいろ
「弊社は」と説明を繰り返す
送り出し機関の花形部署は営業部
対外部が接待を担当
営業利益は一人一五〇〇ドル
中国から持ち込まれた接待営業
手数料が安いと信用されない
監理団体は守ってくれない
在ベトナム日本国大使館の挑戦
人材争奪戦の相手はベトナム
第三章 なぜ、失踪せざるを得ない状況が生まれるのか
失踪技能実習生は年間一万二四二七人
東京は稼げるから手数料が高い
日本人は全員六五歳以上
労働時間が短いと失踪者が増える
失踪ラインは借金七〇〇〇ドル
実習生の七割は家族や親族から借金
実習生を支える「アグリバンク」
出国前に始まる借金返済
労働力輸出は国の政策
NHKのミスリード
実習生に性的な関係を強要
ドイモイ以前を生きた親世代
外国人技能実習機構の役割
実習生の駆け込み寺「日新窟」
機構はたらいまわし
入国時に技能実習生手帳を配布
下僕と呼べと指示される
日本は文明的な国じゃなかった
どんちゃん騒ぎで大クレーム
転職はできないが転籍はできる
技能検定試験に受からずに強制帰国
フェイスブックが失踪を支える
失踪してから土地を買い増した
偽造書類は誰でも買える
失踪者を利用する派遣会社
受け入れ企業は書類上で認定
フィリピン人の失踪が少ない理由
第四章 なぜ、特定技能外国人の受け入れが進まないのか
人気店が人手不足で休業
特定技能とは何か
日本は世界四位の移民社会
特定技能外国人の待遇
登録支援機関とは何か
支援費とは別に紹介料
受け入れは想定の二%
受入れ国は九か国
ベトナムは特定技能に関心なし
ポスト・ベトナムの動きが顕在化
外食業では人手不足が加速
資格外活動で働く外国人
国民年金未納で在留資格変更が不可
特定技能はすべり止め
監理団体が特定技能への移行を妨害
旅行者にも受験機会拡大
失踪者は特定技能に移行できるのか
特定技能創設後も増加する技能実習生
技能実習制度の反省は活かされるのか
第五章 ルポ韓国・雇用許可制を歩く
日本にいる妹を韓国に呼びたい
韓国の外国人労働者政策
雇用許可制とは何か
雇用許可制なら約一〇年働ける
年末に八〇万円のボーナス
移民労組は「雇用許可制反対」
相談の六割は賃金の未払い
ベトナム人受け入れをストップ
特定技能とは明確に違う
あとがき
初出一覧・参考文献
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