内容説明
街路に残る古跡や廟、人びとに愛される名物料理、信仰と祭り――。「美麗島」とも称される台湾に、今も息づく独自の文化。その伝統は一六二四年のオランダ統治以来、鄭氏、清朝、日本、国民党に至るまで、各時代の外来政権との関係によって形作られてきた。本書では、激動の台湾を生きた人びとの視点から、四百年におよぶ歴史をたどる。台湾をより深く知るための案内を豊富にまじえて、多様な文化の魅力を活写する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
93
台南発て珍しい。戦前の原住民研究も紹介してるのも珍しい。 盛りだくさんすぎるかも。 街の案内、歴史、ある人物についての記述、が混じっているので今の話かと思うといきなり過去だったり。アースダイバー的な感覚を狙っているのかな(そんなことないと思うけど)。 文末読書案内付き。2021/03/16
まーくん
92
著者も予めことわっているが歴史専門家ではなく、本書も教科書的な歴史書ではない。しかし私には、これまでになく良く理解できた台湾通史であった。日本植民地時代に古都台南に住み、先住民族の研究を進めた國分直一や後を継いだ台湾人学究らの文献を読み解きながら、先史時代から戦後の国民党時代までの変遷を辿り、著者自ら体感する現在の台湾の歴史・文化へ繋ぐ。台湾の文字による歴史は短く、オランダ占有以降の400年。その後の漢族(閩南・客家)流入により内陸・高地に追われた先住民族。漢族の末裔は戦後の外省人に対し本省人と呼ばれる。2020/08/07
skunk_c
54
在台歴のある文学者の手になる、台湾の400年の歴史と文化について、台湾を愛した何人かの日本人や台湾人の目を通した素描集。したがって通史や体系的な文化論を期待すると肩すかしを食らうが、先住民と漢族(閩南人・客家人)、本島人(台湾人)と内地人(日本人)、本省人と外省人といった、台湾支配の変遷と多様な民族性の中から、台湾とは何かを考え、構築しようとした人々の思索を軸に、その文化の重層性を浮かび上がらせている。文章が端麗で、特に街の素描は生き生きしていて行ってみたくなる。日本の植民地支配の功罪も知ることができた。2020/04/10
さえきかずひこ
14
台湾原住民は文字を持たず、この島の歴史は17世紀のオランダの来航から始まる。本書は著者が居住したことのある台南を中心とした南部に残る風俗や信仰を、とくに日本統治期から戦後にかけてのインテリ層の文化を歴史の流れと共に活写する。國分直一、前嶋信次、新垣光一、葉石濤、呉新榮、王育徳ら日台の学問的な繋がりー文学や民俗研究ーを通して、50年の長きにわたる日本植民地としての台湾が、中国本土から来た国民党の独裁、その後の民主化=台湾化を経て、経済的に大きく豊かになり、独自の魅力を湛えていることを概説する愛に満ちた一冊。2020/11/12
DEE
14
台湾の歴史上の人物は、と問われてもすらすらと答えられる人はそうはいないのでは。蒋介石は中国出身だし。 国が近くてもその歴史や文化は意外に知られていないのではないか、そんなところからこの本は始まる。 庶民の文化の変遷なんかは面白いけど、なんせ文章が硬くてとっつきにくい。著者はたいそうな高齢かと思ったら、まだ40代とは。 台南にも行った後に読めば、また違う印象だったのかもしれない。2020/06/19
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