ブルーバックス<br> 生命はデジタルでできている 情報から見た新しい生命像

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ブルーバックス
生命はデジタルでできている 情報から見た新しい生命像

  • 著者名:田口善弘【著】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 講談社(2020/05発売)
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  • ISBN:9784065195970

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内容説明

科学出版賞受賞作家の書き下ろし最新作
「全生物に読んでほしい!」人気YouTuber・ヨビノリたくみ氏絶賛

 いま、生物学の分野で静かな革命が進行しつつある、と言ったら読者の皆さんは驚くだろうか? その生物学の分野とは、ゲノム科学である。ゲノム科学に関する新しい知見がネットに流れない日の方が珍しい。
「寿命を伸ばす遺伝子発見!」
「『がんゲノム医療』検査に保険適用」
 なんだがすごいことがこの分野で起きているっぽい。だが、なぜ、「突然」こんなことになっているのか? その疑問に答えてくれる報道は少ない気がする。本書の目的はそれを少しでもわかりやすく説明することにある。
 そのために、本書ではDIGIOMEという造語を導入した。DIGIOMEとは何か? それは、デジタル信号処理系としてゲノムを捉える考え方だ。ゲノムを構成するDNAが、ゲノム情報という意味で、われわれ生命の設計図たる情報を担っていることは、ワトソン=クリックによるDNAの二重螺旋構造の発見の頃から知られていた。だが、本書ではそこを一歩踏み込んで、ゲノム自体をデジタル情報処理装置として捉える見方を提案したい。
 我々人類が、デジタル情報処理装置の恩恵を日常的に享受できるなったのは、わずかにここ数十年のことに過ぎない。だが、生命体はそのそもそもの誕生時からこの高度なディジタル情報処理系の恩恵を享受してきた。周知の様に、我々人類がデジタル情報処理装置の恩恵を享受するには、高性能ながら安価な情報処理装置(例えば、スマホ)の発明が必須だった。生命体はそのような精密な情報処理装置を持っていないにも関わらず、ゲノムをデジタル情報処理装置として機能させることに成功してきた。本書で語りたいのは、なぜ、そんな奇跡のようなことが可能だったのか、ということだ。
 実際、デジタル信号処理系たるゲノムは、われわれ人類が作り上げた精緻で緻密なそれとは、にて非なる側面をもっている。ある面では我々のそれより優れているし、ある意味では劣っている。そして、いま、このタイミングでその詳細が詳らかになったのは、デジタル信号処理系としてゲノムの動作を克明に観測して記録できるだけの技術と知識を我々が手にしたことによる。いままで秘密のベールの奥に隠されていたその機構の謎が日々、その観測技術によって続々と白日のもとにさらされている。前述のゲノム科学における新発見の連鎖はその帰結に過ぎない。そして、その技術の一端にはいま流行っているAI=機械学習の進歩も大きく関わっている。この本はそんな存在、DIGIOMEを巡る冒険譚を、極力最先端の知見を用いて語ることを目的とする。この本を読み終えた時、きっとあなたは、いままで見ていた「生命」をそれまでとは随分と違う目で見ることができるに違いない、と信じる。

目次

第1章 ゲノムー38億年前に誕生した驚異のデジタル生命分子
第2章 RNAのすべて(トランスクリプトーム)ータンパク質にならない核酸分子のミステリー
第3章 タンパクのすべて(プロテオーム)ー組成を変えずに性質を変える魔法のツール
第4章 代謝物のすべて(メタボローム)ー見過ごされていた重要因子
第5章 マルチオミックス 立ちはだかるゲノムの暗黒大陸

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

105
少し生物学の勉強をし直そうと手に取りましたが、かなり難しいレベルの高い本であると思いました。生命を構成しているものがこのようなゲノムであって、そのゲノムにはかなりの情報があってその情報を操って生物が進歩してきたということがおぼろげながら理解できました。それにしてもこの分野における解析手法がどんどん進歩していることがよくわかりました。2024/04/01

mae.dat

86
生命システムの神秘。( ¨̮ )。 絶賛賑わいを見せるの分子生物学界ですが、研究者以外にはちょっと取っ付き難い。でも本書は、伝えたい情報をギリギリ削ぎ落として、馴染みあるもの(主にコンピュータ)に喩えて説明されるので、難しさは緩和されている。 色々な事が分かって来て、膨大な量の分かっていない事があるんですね。しかも、どこから手をつけて良いか見当がつかない様な。しかしきっと、天才が突破口を切り拓き、それによってまた、多くの発見に繋がるんだろうな。しかも更なる疑問を倍加させて。 いいぞー、もっとやれやれ!2020/07/08

evifrei

24
生物の遺伝子をデジタル信号と捉え、情報の観点から生命像への接近を試みる。扱われる生物学の知見はどれも基本的なものが多く、文体も読みやすいので気軽に手にとれる一冊。プロテオーム(タンパクのすべて)と題された3章にて扱われる「薬とはなにか」についての記述が特に面白い。アレグラ以前の花粉症治療薬で眠気を催していたのはタンパク質の性能に由来するといった指摘や、一酸化炭素で窒息するメカニズムなどには、そういう理由だったのかと感心させられた。また、4章で少しだけ紹介される老化を代謝物の観点から検討する試みも興味深い。2020/07/17

minochan

16
一般向けの分子生物学入門書。とにかく喩えが豊富でかつ分かりやすい印象を受けた。セントラルドグマを音楽プレーヤーに例えるのは初めてきいたけど、よくある図書館の比喩より分かりやすいかも。タイトルから、もっと独自の視点で生き物を解釈する、意欲的な本かと勝手に期待したが、そういうのではなかった。2024/05/09

Bartleby

13
DNA、RNA、アミノ酸、タンパク質など、生命にとって不可欠な要素を徹底的にデジタルなものとして捉える試み。その意味で、人体とAIがアナロジーによって語られる。AIが精緻にできすぎたシステムであるのに対し、生命体は、多少のミスを許容しうるロバストなシステムだ。自己と他者を截然とわけないことが生命の戦略だ。その鍵はタンパク質にありそうだ。デジタルとアナログをつなぐ、関節のような役割を果たしている。おかげで両者が共存できる。このうまいシステムにはただただ舌を巻くばかり。2022/10/22

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