新潮文庫<br> 万葉恋づくし(新潮文庫)

個数:1
紙書籍版価格
¥737
  • 電子書籍
  • Reader

新潮文庫
万葉恋づくし(新潮文庫)

  • 著者名:梓澤要【著】
  • 価格 ¥737(本体¥670)
  • 新潮社(2020/05発売)
  • ポイント 6pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784101211831

ファイル: /

内容説明

万葉歌人は、じつは恋愛下手でした――。若い大伴家持から恋歌を贈られた年上女性の、理性と情熱の揺らぎを描く「年下の男」。夫に愛想を尽かした妻が出した結論「しゑやさらさら」。恋の歌が苦手な女の前に現れた庭を愛する男との、不意の出来事が胸を焦がす「恋の奴」。その他、下級役人の滑稽な同棲「紅はかくこそ」など全七編。歌人たちのおおらかで不器用な恋の一瞬を、みずみずしく描く傑作。(解説・上野誠)

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

しゅてふぁん

52
万葉集の歌を題材にした短編が7つ。家持と弟書持を書いた『弟』、家持と紀郎女の『年下の男』、石川郎女と大伴田主の『おその風流男』…どれも本当にあったことのようでとても良かった。上野誠さんが解説で「万葉学徒の私は、鵜の眼鷹の眼でアラ探しをしたのだが、残念なことに見つからなかった」と書かれている。それくらい自然に「うた」の背景が物語化されていた。どうりで惹き込まれるわけだ。一首の歌の背景にはこんなふうに人々の物語があるということを忘れずに、これからも和歌を楽しんでいきたい。2020/10/06

akio

32
令和初めてのお正月ということで万葉ものを。モチーフとした歌に掛け合わせるように、恋情と人の営みの悲喜こもごもを描いた短編集です。個人的には家持と書持の物語が印象的でした。対象的なふたり。身内ゆえの歯がゆさがあってもかけがえのない兄弟の絆。結末は儚くも切ないものでした。それぞれ恋の物語もどこか現代チックで読みやすく、親しめる素敵な物語ばかりでした。2020/01/07

さら

31
万葉集の歌から作家の梓澤さんが紡いだ物語。 パッとしない冴えない年上の夫に別れ話を切り出された妻。最初は別れないと言いますが、第二の人生もいいかもしれないと思い始めます。夫の家を訪ねると、別れ話はなかったことにしてくれと夫が言います。栄転の話があり、一緒に行ってくれないかと言うのです。妻は断りますが、夫が思いがけないことを言い出して――。 他にも、単身赴任中に遊女と同棲してしまい、大伴家持にさりげなく諭される下級官人の話『紅はかくこそ』、家持の弟、書持(ふみもち)の不器用な恋『弟』、風流男(みやびお) →2020/03/17

まさ

29
万葉の歌から当時の人の気持ちをこれまでは想像していただけなのに、梓澤さんは物語にしてくれました。人のやりとりがどんどん見えてきますね。ましてや、情の行き来する恋ごとなら尚のことおもしろい。――万葉歌の作者たちが自由にしゃべり出す――まさにそのとおり。越中を舞台にした物語だとより親しみも湧いてきました。2021/01/25

鳩羽

14
万葉集の恋の歌から、当時の歌人のままならない激しい恋、捨てきれない情、恋にもならなかった不器用な関係を描き出す短編集。年齢など関係なく恋にのめり込んでしまえるのは、現代人からしたら羨ましくも思えるかもしれない。政情によって引き離されたり、罰せられたりすることを考えれば、恋を成就させるのは簡単でも、維持するのは難しかったのかもしれない。だからこそ、歌に表れた一瞬の激情は、時間を超えて、はっとするほど鮮やかに歌詠みの心を見せつけてくる。2020/01/02

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/14935764
  • ご注意事項