文春文庫<br> 2020年・米朝核戦争

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文春文庫
2020年・米朝核戦争

  • ISBN:9784167915025

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内容説明

核問題の権威の国際政治学者による、戦慄のシミュレーション。東アジア最大の危機はいかにして現実化しうるのか。

2020年、米朝間で核戦争勃発。北朝鮮による韓国旅客機撃墜に始まる悪夢のシナリオ。各国政権中枢の動きを実名で描く。

著者ジェフリー・ルイスは核拡散と地政学についての世界的権威。中国・北朝鮮・イランなどの核兵器計画を知悉し、国際政治学者として核問題に関する研究・提言を行っている。その知見を総動員し、北朝鮮の核の脅威がいかにして現実となるかをシミュレーションした初のフィクションが本書。
2020年に起こった核戦争をアメリカ議会の委員会が調査・報告したレポートという体裁で、各国政府内部の意思決定プロセスや危機管理の危うさを詳細に記述、核攻撃が現代都市に及ぼす惨事も描き出している。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Porco

19
著者は長年核戦略の研究をしているアメリカ人で、メディアへの露出も多いそうです。そんな人物が、最悪のシナリオを、ノンフィクション風に描いた小説が本作。原書は2018年8月の刊行で、執筆時点までの事実はそのまま取り入れているとのこと。マティスが国防長官のままで、ポンペオは国務長官をクビになっているところは、予測が外れていますね。北朝鮮の核攻撃を受けたアメリカの被爆者の声として、広島・長崎の被爆者の声を引用しているのも印象的。とても勉強になる本でもありました。2021/02/11

チェアー

9
リアリティがあるのかと聞かれれば、悩むところ。停電とか通信渋滞とか情報がないなかで、世界をひっくり返すような決断を首脳がするのかどうか。 しかし、戦争が起きる土壌があるところでは、小さな偶然の積み重ねが発火点になりうる。 だから、戦争が起きる土壌を変えるしかない。そのために政治家を選び、税金の使いみちを監視し、外交を注視し、必要に応じて声を上げる。地道な作業を続けることが必要だ。2020/08/13

かんとり

7
北朝鮮による核攻撃に関する特別委員会。この最終調査報告書という形をとった、フィクションノベル。 韓国民間機の小さな故障から始まった北朝鮮の無謀な核攻撃。 実在の大統領、政府要人、北の指導者、全て実名で登場し、 もう一つの2020年を描く。韓国&日本に50発以上の核ミサイルが発射され、アラスカの防空網を超えて米国本土にも… 実際の発表済資料、主要マスコミの記事、それらに想像力と味付ければ、リアル感ありありのフィクションです。読み応えありましたな。 2020/06/09

八八

5
本著はアメリカでも著名な国際政治学者が「米朝の核戦争後に開かれた米国政府の原因究明特別委員会の報告書」という体裁で描いたフィクションノベルである。韓国の民間機撃墜からの報復、核戦争へと拡大する過程を描く。ただのフィクションではなく膨大な注釈によって裏付けされた本著はリアリティをもって書かれている。現トランプ政権に対する批判が垣間見える作品であり、また戦争の不確実性がかなり意識されている。また、被曝するアメリカ市民の言葉は広島の被爆者の回想が引用されており、作者の核兵器に対する考えを読み取れる著作である。2020/06/09

老兵

4
翻訳が出たと知り購入した。一見仮想戦記のようなタイトルだが、著者はアメリカの国際政治学者で核問題の権威。ストーリーは北朝鮮が韓国の学生が乗った民間機を撃墜したことをきっかけに、核戦争にエスカレーションするというもの。この本の秀逸な点は、おびただしい注釈にある。作中のトランプや文在寅、金正恩の一挙一動は実際の会見での発言や専門書の引用に基づいており、作品を限りなくノンフィクションに近いフィクションに仕立てている。2020/06/15

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