内容説明
物議をかもしたサイゾー本誌のルポ連載を大幅に加筆し、書籍化。
上から目線の若者論、ヤンキー論、郊外論を一蹴する、苛烈なルポルタージュが誕生!
川崎の刺激的な写真も多数収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
honyomuhito
66
11人が死亡した放火火災事件現場の側の公園に、酩酊した中学生と子供をジャングルジムで遊ばせる母親、ストロングゼロを片手に遊具に乗る老人がいる。ほんの10メートル先には川崎警察署がある。この何もかもがごっちゃになって共存する場所はなんだ。作中の青年たちは、音楽やスケートボード、ダンスを使って自己表現をしようとする。皮肉にも、川崎という街の忌むべき部分が、彼らにラップという音楽をもたらしている。彼らは決して川崎を嫌ったり、憎んでいるばかりhttps://chirakattahondana.com/ルポ-川崎/2018/07/16
fwhd8325
63
この著書で書かれているほど、川崎にはあまり悪い印象は持っていない、あの中学生の事件にしても、当時近くで暮らしていた「女子高生コンクリート殺人事件」の方が街へ与えた影響は大きいと思っています。この著書で、どれだけ有名な方か今ひとつわからないのですが、ラッパーやヒップホップの世界で有名な方を輩出されていることで、あの坂本九さんも川崎の出身だったと思い出しました。環境の悪さは感じますが、日本の文化を担うアーティストが登場する土壌には不思議な魅力があるに違いない。2018/08/25
ばんだねいっぺい
44
音楽を入り口とした川崎の実態を描くルポ。ゾッとする一文が結構、出てくる。後半に友川カズキが登場したのには驚いた。ノワール小説も顔負けな現実が鵺のように横たわるが、たくましくも希望に向かって進む一群があることを嬉しく思った。2018/05/05
おかむら
42
海外旅行に行くと、この地区は危ないから行ってはダメと言われる場所がありますが、このルポの川崎がまさにソレ。サウスブロンクスみたいだ。著者が音楽ライターなのでラップやダンスやスケボーといったヒップホップ文化?から迫る街ルポ。不良でも陽性の部類。同じ川崎でも石井光太の「43回の殺意」の方は陰気(オタク)の不良なので読み較べると面白い。2018/03/14
チャーリブ
39
題名どおり川崎(主に川崎区の)ルポルタージュ。雑誌「サイゾー」の連載記事(2016年〜2017年)を大幅に加筆修正したもの。2015年2月には、地元の中学1年生が多摩川の川原で惨殺されるという衝撃的な事件が起こり、日本中の目がこの地域に注がれた。この悲劇の素地は、ルポにあるように貧困と暴力のしがらみの中で生きざるを得ない若者たちの状況にあるに違いない。川崎出身の人気ラッパーやスケーター、ダンサー、格闘家など若者たちの新しい可能性が描かれていて、必ずしも暗いムードではない。写真もよく撮れている。○2022/06/20
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