講談社選書メチエ<br> 山に立つ神と仏 柱立てと懸造の心性史

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講談社選書メチエ
山に立つ神と仏 柱立てと懸造の心性史

  • 著者名:松﨑照明【著】
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  • 講談社(2020/05発売)
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  • ISBN:9784065198995

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内容説明

柱を立てるとはどういう行為だったのか。神を祀り天と地の通路を探った古代人の憧憬は、高く太い柱を求め、やがて神仏の近くへと山に分け入っていく。
山中に見出される聖なる岩座、そこに建てられる堂舎は懸造と呼ばれ、人々が観音や権現に伏し、籠もり、苦修錬行する拝所となる。
岩、岩窟、湧水に神仏を感じ霊験を求める日本人、形としての山岳建築に、浄所への畏敬と崇拝の心性を読む。

目次

第一章 遙拝すること・立てること――神を祀る柱
第二章 山の浄所に籠もる浄行僧
第三章 懸造という名称の由来
第四章 岩座と湧水信仰の建築
第五章 仏堂と社殿の重層空間――神仏混淆の中の礼堂
第六章 祀り拝む場のすつらえ
第七章 近世懸造の姿はどう変わったか

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

六点

110
古代の遺跡から、現行の神事でも「柱を立てる」と言う行為は重要な意味を持っていた。高く太い柱を求め、神仏の力を求め山の中に「懸造」をと呼ばれる建造物を建立したのである。現在、清水寺や東大寺二月堂などでみられる。そこで人々は夢告を求め、参籠したのである。捨身往生を究極の目的とする修験道の影響が強い懸造では建物の周囲に手すりが設置されていないなど、高所が苦手な六点からみれば地獄のような建造物である。そのような場で救いを求めた人の心は、現代では求め得ないのではないだろうか。2023/08/12

たまきら

36
読み友さんの感想を読んで。自分は御柱のような原始的な儀式の「山に立つ」に惹かれるんですが、ここで紹介されている建造物を見ながら、自然との融合や憧憬、厳しい状況から何かを興す純粋な原動力を思いました。2023/09/06

Tenouji

14
神様を数える単位としての「柱」についての内容かと思っていたが、神社仏閣建築の「懸造」という視点での、日本の修験道に関係する、著者の仕事の集大成という位置づけ。非常に内容は緻密で濃い。「蔵王権現」にもふれらていて、神仏習合の実際として、とても興味深い内容だった。この書をもとに、実際に現地を訪れてみたいという気持ちになった。先ずは、東日本方面からかなw。2021/01/12

しょうゆ

5
垂直性というのは、自分の中のテーマでもあり凄く面白かった。柱、山岳信仰などなど興味深い内容がたくさんあった。しかし、自分の知識不足も痛感した。でも、まずは自分の目で投入堂を見てみたいし、清水寺ももう一度みたいな。蔵王信仰や、寺の名前も全然知らないことだらけだった。勉強不足だ。人生知らないことが多いものだな2024/04/16

とりもり

3
山岳信仰の象徴としての垂直性と、平地の文化としての水平性の対比が興味深い。確かに、山岳信仰には御柱建てなどの風習や投入堂のような懸造による建物がセットになっており、その源泉は崇拝の対象たる巨木や岩を奉るところから始まっていることに鑑みれば、かつては垂直性という観念が重要視されていて、それが山岳信仰の衰退とともに重視されなくなっていったという構図はなんとなく腑に落ちるものがある。それを於いても、投入堂のような魅力的な建造物は人の心を捉えるので、その心性には普遍的なものがあるのかも知れないが。★★★★☆2025/10/09

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