集英社インターナショナル<br> 感染症は実在しない(インターナショナル新書)

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集英社インターナショナル
感染症は実在しない(インターナショナル新書)

  • 著者名:岩田健太郎【著】
  • 価格 ¥1,078(本体¥980)
  • 集英社(2020/04発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784797680522

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内容説明

インフルエンザは実在しない! 生活習慣病も、がんも実在しない! 新型コロナウイルスに汚染されたクルーズ船の実態を告発した、感染症学の第一人者が語る「病の存在論」。【著者まえがきより】え? 「感染症は実在しない? お前は今、新型コロナウイルスと取っ組み合って、クルーズ船にまで乗り込んだじゃないか! クルーズの感染防御が間違ってたとか言ってたろ? あれはデタラメだったの?」そういうご意見もあるかもしれません。 いえ、むしろ2020年のコロナウイルス問題にこそ、本書のような考え方が必要なのです。感染症は「実在」しない。あるのは微生物と我々の「みなし」だけです。だから、検査が必要な人と不要な人が出てきますし、その検査がしばしば間違ったりします。PCRをやっても不毛な事が多いのは、ウイルスがいてもPCRが陰性のことが多く、仮にウイルスがいてもそこには「病気」がなかったりするためなのです。詳しくは本書をお読みいただければ、この複雑なからくりはご理解いただけることと思います。個々の感染症や、感染症のアウトブレイクを理解するには、そのような「現象そのもの」のイメージが必要です。イメージ喚起力がないと、「感染がある」「ない」といった見解を(検査が「陽性」「陰性」といった間違った根拠で)デジタルに捉えてしまいます。デジタルに感染症と対峙すると、できていないゾーニングも「ちゃんとやっている」と錯覚します。ゾーンを作っても、そこに存在するウイルスがイメージできなければ予防はできないのです。これは、感染症の本質を知悉(ちしつ)していないとイメージできない。非専門家の方にどのように伝えたら、このゾーニングの失敗をイメージできるか。かつて、ぼくはあるインタビューで、「下水道と上水道が混じっていて、その水を人が美味しそうに飲んでいる感じ」と述べました。ゾーニングの失敗とはこのようなものですが、ウイルスは目に見えないし無臭なのでぼくが感じた恐怖感が追体験されないのです。※本書は2009年『感染症は実在しない 構造構成的感染症学』(北大路書房)を底本にしました。

目次

まえがき
第1章 感染症は実在するか
第2章 病院の検査は完璧か
第3章 感染症という現象
第4章 なぜ治療するのか
第5章 新型インフルエンザも実在しない
第6章 他の感染症も実在しない
第7章 メタボ、がん…感染症じゃない病気も実在しない
第8章 関心相関的に考える
第9章 科学的に、本当に科学的に考えてみる
第10章 医者は総じて恣意的な存在
第11章 価値交換としての医療の価値
第12章 病気という現象を見据えて、しなやかに生きていくために
あとがき
新装版のあとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

てつのすけ

46
「病気であるか、病気でないかは、医者が恣意的に判断している。」最初は、何を言っているんだろうと思ったのであるが、読み進めるにつれて理解できた。治療をするかしないかは、個人が、その病気を許容するかしないか。このように考えるのが、適切ではなかろうか。我々日本人は、「こう決まっているのだから、こうしないといけない。」すなわち、「病気になったら、治療しなければならない。」ということに、あまりにも囚われすぎているのではなかろうか。2020/06/14

eirianda

13
家族や自分の思いがけない(大した症状は無いが)大病だと医者から宣告されたことは何度か経験したけれど、知る前と後で精神状態が一変するのが不思議な現象だと毎回思っていた。この本を読むと、ああやっぱりね、と思えた。コロナ禍も然り。言葉でタグ付けするって、人間には大きな影響を与えるものなのだわ。そもそも今回のパンデミックは病気だけでなくあらゆる思考において、世界中を巻き込む貴重な体験なのだな…。しかしながらこの国の無責任な官僚主導とそれに甘える国民性は変わるのだろうか? やっぱり弁証法って大事。2020/05/06

fseigojp

11
いつもながらの快刀乱麻を断つ論調 しびれる2020/05/16

溝口晃平

5
①目的 ・コロナ背景で感染症について学ぶ。 ②エッセンス ・病原菌の実在と病気という診断は別。病原菌を持つ人は保菌者と定義し、その中で病変があれば病名診断を受ける。アメリカでは結核撲滅のために結核保菌者を探し回る。しかし結核菌は全世界の1/3の人は持っているらしい。いわんやコロナをや。 ・昔は癌は症状を指していたが、現在は癌予防の為に癌細胞が見つかれば癌患者扱い。癌早期発見の為に放射線暴露を行えばリスクは高まる。 ③行動プラン ・実在とは哲学の世界。人の致死率は平等で100%。菌ウイルスとの共存を目指す。2020/11/05

ほうむず

5
医療判断は明快だが、根拠はあいまいもことしている。これが医療の本質的なあり方。どの辺まで病とつきあい、病との価値交換を許容するかは、あいまいな根拠をもとに患者と一緒に明快に決めていくより仕方がない。自分には正しいと信じる生きる道がある。道半ばで病に倒れるのは、その人の生き方の規定、目的に照らし合わせて不都合なこと。その中で、医療は支援を提供することができる。病気が実在しないことを、認識する。生きるあり方をもう一度練り直してみる。価値の交換行為としての医療が提供できる支援のあり方を考えてみたい。2020/05/24

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