内容説明
百貨店で働く貢と綾は結婚三年目。貢は婦人服売り場、綾は紳士服売り場で働いており、社内結婚だった。
貢はもともと百貨店のサッカー部に所属していたが、廃部に。しばらくサッカーとは無縁の日々を過ごしていたが、ある時社会人サッカーチームの強豪「カピターレ東京」からスカウトを受ける。
綾の反対にあいながらも、入団を決意する貢。
仕事よりも試合を優先しがちな貢に、上司も不満を募らせていく中、綾ともすれ違いはじめ――。
一方、綾は売り場に訪れた天野という男と映画や食事に行く関係に。貢よりも趣味が合う天野が徐々に気になり始める綾だが――。
結婚三年目にして初めて訪れる大きな危機を、2人は乗り越えられるのか!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
涼
72
http://naym1.cocolog-nifty.com/tetsuya/2024/04/post-ecaccc.html 共に百貨店で働く夫婦の話です。年に一度だけ公休日である元旦から始まって、次の年の元旦で終わる、一年間の物語。 ちょっとした気持ちのすれ違いがあってお互いに少し危ない展開もありながら、落ち着くところへ落ち着いたという展開でした。2024/04/08
三代目けんこと
56
夫婦三部作を完読。すごいリアルで面白かったと同時に、気をつけようとも思った。2022/06/02
しゅてふぁん
46
百貨店に勤務する結婚3年目の夫婦の一年を書いた物語。ひと月ごとに視点が変わるのでお互いの内面がよくわかる。2人のすれ違いにモヤモヤ。私は綾とは全く違う考え方をするので、なかなか興味深く読めた。タイトルそのままな貢の『それ自体が奇跡』というスピーチは素敵だった。2020/06/29
やっちゃん
35
夢を追う夫と現実的な嫁。小野寺作品らしくお互い誠実だけども価値観違うとすれ違っちゃうのか。妥協しちゃうのは楽。大人になっても仕事以外で本気になれるって羨ましいしすごいパワーだと思う。地域リーグの実情も興味深く良い作品だった。2022/12/07
あみやけ
32
僕は仕事を犠牲にする程の趣味はもっていませんが、この夫婦のこの時のように、かみさんとはよく言い争います。職場では、全くそんな風に見えないって言われますが。だから、途中、自分のことのようで少し苦しかったです。でも、さすが小野寺さん。読後感がとってもいいです。夫婦っていいなって思いました。もう自分たちは15年以上たってますが。お互いにしたいことをしつつも一緒に楽しむことを忘れない、大切に思う気持ちを忘れない、時にはけんかをしつつも。そう思いました。一緒に15年以上も生活していること自体が奇跡なんですよね。2020/12/12