内容説明
奈良の薬師寺で働く高畑明日香の愛読書は、平安の僧・景戒が編纂した説話集『日本霊異記』。ある日、明日香は境内の絵馬に不穏な書き込みを見つける。母は殺された―。その後、彼女の周りで奇妙な事件が多発。その全てが『日本霊異記』に書かれた事象に合致していた。これらは何を訴えているのか。渾身の全6編を収録。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
45
奈良を舞台にしているミステリーというのに惹かれました。『日本霊異記』をベースにしているのが興味深いです。ただ、完全に解決できず曖昧なのがなんだかなぁと。それも「味」なのでしょうか。2021/03/13
Shoji
44
不思議な小説です。ミステリーなのかファンタジーなのかオカルトなのか、歴史小説なのか恋愛小説なのか。日本霊異記に書かれた民俗をベースに奈良県を舞台にしたミステリーです。ヒロインは日本霊異記を愛読する薬師寺の職員。周りで発生する難題を霊の力や仏の力、カラスの不思議な力で解決して行きます。霊異記の時代は言霊や怨霊を信仰や為政にしていた時代ですのでオカルト的な要素も。前半は面白かったけど、後半トーンダウン。若干消化不良しつつ読了。2020/05/31
ちょん
22
解説を読んで純文学を書かれる方で、芥川賞も受賞されていたことを知りました。お堅いイメージはなくむしろ読みやすい連作だったので意外。地名に関する謎を解いていく主人公。私も地名についてもっと知りたくなった、そして日本霊異記読みたい‼️読まねば‼️2022/05/22
withyuko
11
日本霊異記について何も知らなかったのですが、すごく読んでみたくなりました!中でも、興味深かったのは、弓削の道鏡というのは本当は悪い人ではなかったのでは?藤原永手という人が西大寺の塔を、八角形から四角に、七重の塔から五重塔に規模を縮小したり、称徳女帝と道鏡のスキャンダルを流したり、、、というお話が面白かったです。奈良で育った私には身近な地名がいっぱい出てきてそれもよかったです。西大寺とか由義神社にも行ってみたい!と思いました。2020/04/30
niz001
7
「日本霊異記」を読みたくなる、土地勘があると雰囲気がかなり楽しい。それ以外は「なんじゃ、コレ?」って感じ。岩島が出てきてから一気に読むペースが落ちた。2020/05/06