内容説明
アメリカ地図を10の異なる文化圏に分け、それぞれのルーツ、地形、経済、産業、政治、雇用、人種(エスニック集団)、宗教、高齢化、出生率などの特性についてデータをもとに、現代アメリカの姿を地図とともにつまびらかにする。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
molysk
64
ほんとうのアメリカは、50州ではなく、10地域で捉えると、みえてくる。本書は、アメリカを10の地域に分けて、その特色を説明する。地域の分類に用いる基準は、個人の自由・平等に対する姿勢、宗教を重視するか、宗教の多様性を認めるか、環境保護と経済発展のどちらが望ましいか。また、地域の特色に対する移民の影響は大きい。清教徒の入植した北東部から、欧州からの移民が西進して国土を広げた。南部の黒人比率は高く、太平洋岸はアジアからの移民が多い。歴史や文化の背景を知ることで、アメリカの地図を色分けする要素への理解が深まる。2022/07/24
パトラッシュ
43
日本や中国、ロシアや欧州各国は強力な中央集権国家の時代を経験しているが、アメリカは建国以来それが一度もない。植民地以来の歴史や自然環境などの条件で生まれた異なる文化を持つ地域が、強引にひとつの国となっているのがアメリカの実態なのだ。ニューイングランドとアパラチアの落差は愕然とするほどだし、他国と異なり極右ほど国家を信頼せず陰謀論を信じやすい土壌が理解できる。外への拡大や外敵の恐怖でまとまっていた頃はともかく、情報が拡散した現代は逆に遠心力が働く。分断をあおるトランプが熱烈に支持されるのは当然の帰結なのだ。2020/09/11
HMax
29
アメリカを10の地域に分けて、真面目に紹介してくれる良書。今回の大統領選の色分けと良く重なる。各地域のファクトシートとその説明を読むだけでも価値あり。アメリカ建国で思い浮かべるのはピルグリムのプリマスロック(1620年)やバージニア会社のジェームスタウン(1607年)ですが、実はスペインがセントオーガスチンに1565年に植民地を作っていた。 2020/11/07
yyrn
25
アメリカを州単位ではなく、類似する特性により10地域に大別し、その違いを歴史を遡りつつ解説してくれる本。移民・黒人奴隷・先住民族にまつわる話と戦争や産業の盛衰によってダイナミックに移動する人々の話が多い。①ニューイングランド(ヤンキー発祥の地)②メトロポリタン・ニューヨーク地域(グローバルシティとしてのNY大都市圏)③アパラチア地域(貧困と環境汚染がまねくディアスポラ)④サウス地域(二つの南部)⑤インダストリアル・ノース地域(工業と穀倉と酪農の地)⑥ハートランド地域(ルイジアナ購入で得た広大な牧草地帯)⇒2020/08/12
zirou1984
22
アメリカを50の州ではなく10の地区からそれぞれの風土を読み解いていく本書を読んで痛切に感じるのは、日本からは想像している以上にアメリカの分断の問題は根深いのだということ。2020年に刊行されたのもあって問題意識の中心になるのはやはりトランプ現象についてであり、中部の人々が抱く連邦政府への不信や金融制度に搾取されたと感じるその背景には、貧しい土地という、人種とは違う形での格差が存在していることを思い知らされた。政治のみだけでなく文学や音楽といった、アメリカ文化を読み解く上で非常に参考になる1冊。2021/02/21
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