集英社新書<br> 水道、再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと

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集英社新書
水道、再び公営化! 欧州・水の闘いから日本が学ぶこと

  • 著者名:岸本聡子【著】
  • 価格 ¥814(本体¥740)
  • 集英社(2020/04発売)
  • 2025→2026年!Kinoppy電子書籍・電子洋書全点ポイント30倍キャンペーン(~1/1)
  • ポイント 210pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784087211139

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内容説明

水道民営化とは、地域窮乏化政策だ! 欧州の水道再公営化運動が生んだ、新たな民主主義から学び、日本の水道を、グローバル資本から守る。一九八〇年代以降、民営化路線を歩んできた欧州の水道事業。しかし杜撰な管理や財務の問題にスポットがあたり、再び、水道を公営化に戻そうという大きな流れが市民運動を起点に巻き起こっている。昨今、注目されている欧州の左派ポピュリズムのうねりの中核は、実は「水道の再公営化」を求める権利運動だったのだ。水は、人々の共有財・公共財<コモン>である。資本が利潤をあげるための対象として水を扱えば、たちまちその地域は窮乏化していく。民営化で疲弊した欧州の人々の怒りが地方自治体を動かし、「ミュニシパリズム」や「フィアレス・シティ(恐れぬ自治体)」など、新しい民主主義の形を作り出しているのだ。その成果である、水道事業の再公営化はなんと178件。水を再び自分たちのものへと取り戻す欧州の運動から日本が学び、各自治体において民営化をストップさせるにはどうすればいいのか。日本人でありながら、欧州・民主主義の最前線に立つ著者が、日本再生のためのカギを明かす。

目次

はじめに――奪われる「水への権利」
第一章 水道民営化という日本の危機
第二章 水メジャーの本拠地・パリの水道再公営化
第三章 資本に対抗するための「公公連携」
第四章 新自由主義国・イギリスの大転換
第五章 再公営化の起爆剤は市民運動
第六章 水から生まれた地域政党「バルセロナ・イン・コモン」
第七章 ミュニシパリズムと「恐れぬ自治体」
第八章 日本の地殻変動
おわりに――草の根から世界は変わる

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

あすなろ@no book, no life.

55
水、即ち水道は商品でなく人々の権利である。水道は民営化という観点からその運営権をコンセッションとして売り渡して良いのか?新自由主義的にはそうであろう。しかし、先んじている世界ではそれが私物化の極地へ向かった。そして水道は自然独占物と言える。よって、アウトソーシング的思考からインソーシング的思考に向かう潮流である。即ち、コモン、再民営化である。こうした潮流を学ぶのに、並びにこれからの水道の在り方を学ぶのに簡易な良い一冊。水貧困にならぬ為にこのテーマはもっと注目していくべきテーマだと以前より僕は思っている。2020/04/12

coolflat

26
18頁。「水道というものは、世界中ほとんどの国ではプライベートの会社が水道を運営して」という麻生の発言は、とんでもない間違いだ。民間の事業者が水道の供給に占める割合はこの会見のあった前年の2012年の時点で全世界の12%にすぎなかった。また国単位でみたときに、民間水道が50%を超える国は英、仏、チェコ、チリ、アルメニアのみであった。ではなぜそのような嘘をつき、日本の閣僚はワシントンのCSISで水道民営化構想をぶちあげたのか。一つにはCSISが新自由主義的改革を強力に推し進めるフロントライナーであるからだ。2022/11/03

ちょび

23
政策シンクタンクNGO「トランスナショナル研究所」に所属し欧州で20年以上にわたり公共サービス(ガス、水道etc)を取り戻す「再公営化」に取り組む。フランス、スペイン等欧州で市民の水メジャーとの闘いに奮闘。「小さな草の根の変化の積み重ね無しに、国や国際レベルの大きな変化を望む近道は無い」と断言する。民主政治の本場で闘って来た人の言葉には重みが有る。麻生太郎は米国で水道民営化を宣言。世界の流れの何周遅れなんだ!と叫びたくなる。2022年に岸本氏は杉並区長に就任。地方自治体が元気を取り戻す事に期待が膨らむ。2024/06/15

モーモー

23
民営化してコスト削減する、一見正解に見えるが、いち早く民営化した欧米では、コストアップが頻発、水が自由に使えない水貧困が存在する、 民営化ということは、配当金を支払う、役員報酬を支払う、企業の利益を優先するということ。 世界から周回遅れの日本は今更の民営化推進。 方向転換が本当にできない国ですね2024/01/04

すくすく

14
杉並区長岸本聡子氏が欧州のシンクタンク研究員時にまとめた本。フランス(パリ、ニース)、イギリス、スペイン(バルセロナ)水道民営から再公営化に至った経緯についてデータに基づき淡々とロジカルに書かれている。その背景に公共サービス低下、値上に怒る市民運動→再公営化実現していることに率直におどろいた。日本はPFI /PPP、公民連携がインフラ整備の一手段として定着(?)し、一部の懐疑論はあれど必要と思っていたが疑うことも必要なのかも。この状況下での岸本氏の区長就任は今後様々な論議を巻き起こしそう。2023/02/05

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