内容説明
「ぼくが殺しておけばよかった」中学三年の不良少年・樋田真俊が何者かに刺殺された事件。彼にいじめを受けていた同級生・河石要は、重要参考人として呼ばれた取り調べでそう告白する。自分の手で復讐を果たしたかったのか、それとも……少年たちの歪な関係を描いた表題作他、ストーカーの女と盗癖に悩む女の邂逅からおきた悲劇「その一言を」など書き下ろしを含む全六篇を収録。人間の暗部に戦慄する傑作ミステリ短篇集。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
204
いい。短編なのに?短編だから?とにかくいい。全6話、櫛木理宇を堪能した。タイトル作は繰り返し読んで理解出来た・・気がする(汗)どれもエッ!ってやられた感じの読後感が堪らない。最後の『タイトル未定』も嫌な感じが巧い。解説に『彼女の得意技が詰まった一冊』とあるが全くその通りで『溶かし込まれたさまざまなフレーバーの毒』お好きな方は是非!2020/04/24
nobby
203
櫛木さんの斬れ味は短編でも存分に発揮されるね!少年犯罪に痛いママ友やストーカーなど、なかなかに人間の闇を毒いっぱいに描く6篇。心情だけにとどまらないグロに淫らに嫌悪な事態を満喫。最後にゾワッとさせる捻りがまた効果的♬オススメは、人物に混同させられながら最後に双方の求めた一言が対極的に交わるのが上手い「その一言を」。尋常でない暴れっぷりな親子へのイラつきから、予想もしない驚愕へと突如導かれる「ママがこわい」も面白い!連作演出の最終篇「タイトル未定」で本人登場にニヤリとするも、想像絶するまさかの結末に震える…2020/06/18
❁かな❁
167
櫛木さん初読み。書き下ろし2編を含む6編入り。人間の闇の部分や醜さが描かれているので読むの苦痛になりそうかなと思ったら展開に捻りがあって面白く、先が気になりどんどん読める作品だった。「死んでもいい」で面白いって思えて、その後も全部楽しめた。「ママがこわい」の強烈なキャラが嫌だったけど意外な展開で面白く「その一言を」「彼女は死んだ」も騙された。「タイトル未定」は櫛木さんも登場。構成がうまく読者の予想を上回る展開で読書停滞気味の時でも一気読み。私みたいに櫛木さん初読みの方にも最適かも。他の作品も読みたいな。2020/06/15
JKD
156
「死んでもいい」で先入観があっさり打ち砕かれ、「ママがこわい」で執拗なまでに攻撃してくるモンスター母子にゾワゾワ。神話のような「からたねおがたま」でふんわりした気分になったと思えば次にくる「そのひ一言を」で強烈な嫌悪感と巧みなミスリードに驚く。「彼女は死んだ」は少々手が込んでいてラストの「タイトル未定」は遊び心満載のメタフィクションな世界を堪能。どれもこれも予想を裏切る展開で大満足でした。2020/05/17
モルク
152
ゾワゾワする6話の短編集。怖くてゾワゾワではなく、これがどう展開するのか、私たちの予想をどのように裏切ってくれるのかという期待を抱かせる。「ママがこわい」は強烈キャラ。「タイトル未定」は、えっ?櫛木さんの話?読み手がこんがらかるのを楽しんでいるのか、混乱させる名手だな。次は長編を読みたい!2021/01/19




