メタ倫理学入門 - 道徳のそもそもを考える

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メタ倫理学入門 - 道徳のそもそもを考える

  • 著者名:佐藤岳詩
  • 価格 ¥3,300(本体¥3,000)
  • 勁草書房(2020/04発売)
  • ポイント 30pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784326102624

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内容説明

「私たちは何をすべきか」を考える規範倫理学に対して、一歩後ろから「そもそも、なすべき正しいこととは何なのか」を考えるメタ倫理学。暗黙の前提をひっくり返し、議論の土台を新しく整備して、先入観や思い込みに気づかせてくれるのがメタ倫理学の役割だ。初学者向けに丁寧に論点を整理し、読者が自分の倫理を考える旅へといざなう。

目次

はじめに

I 道徳のそもそもをめぐって

第一章 メタ倫理学とは何か
 1 倫理学とは何か
 2 倫理学の分類
 3 メタ倫理学は何の役に立つのか
 4 メタ倫理学では何が問われるのか
 5 本書の構成

第二章 メタ倫理学にはどんな立場があるか
 1 客観主義と主観主義
 2 道徳的相対主義
 3 客観主義と主観主義のまとめ

II 道徳の存在をめぐって

第三章 「正しいこと」なんて存在しない――道徳の非実在論
 1 道徳の存在論
 2 錯誤理論――道徳の言説はすべて誤り
 3 道徳の存在しない世界で
 4 道徳非実在論のまとめ

第四章 「正しいこと」は自然に客観的に存在する―― 道徳実在論(1)自然主義
 1 実在論の考え方と二つの方向性
 2 素朴な自然主義(意味論的自然主義)――もっともシンプルな自然主義
 3 還元主義的自然主義――道徳を他の自然的なものに置き換える
 4 非還元主義的自然主義――道徳は他と置き換えられない自然的なもの
 5 自然主義全般の問題点
 6 自然主義的実在論のまとめ

第五章 「正しいこと」は不自然であろうと存在する――道徳実在論(2)非自然主義的実在論
 1 神命説
 2 強固な実在論
 3 理由の実在論
 4 非自然主義的実在論のまとめ

第六章 そもそも白黒つけようとしすぎじゃないのか――第三の立場と静寂主義
 1 準実在論――道徳は実在しないが、実在とみなして構わない
 2 感受性理論――道徳の実在は私たちの感受性を必要とする
 3 手続き的実在論――道徳は適切な手続きを通して実在する
 4 静寂主義――そもそも実在は問題じゃない
 5 第三の立場および第II部のまとめ

III 道徳の力をめぐって

第七章 道徳判断を下すとは自分の態度を表すことである――表出主義
 1 道徳的な問いに答えること
 2 表出主義
 3 表現型情緒主義――道徳判断とは私たちの情緒の表現である
 4 説得型情緒主義――道徳判断とは説得の道具である
 5 指令主義――道徳判断とは勧めであり指令である
 6 規範表出主義――道徳判断とは私たちが受け入れている規範の表出である
 7 表出主義のまとめ

第八章 道徳判断を下すとは事実を認知することである――認知主義
 1 認知主義
 2 内在主義と外在主義
 3 ヒューム主義――信念と欲求は分離されねばならないか
 4 認知は動機づけを与えうるか
 5 道徳判断の説明のまとめ

第九章 そもそも私たちは道徳的に善く振る舞わねばならないのか
 1 Why be Moral問題
 2 道徳的に善く振る舞うべき理由などない
 3 道徳的に善く振る舞うべき理由はある――プリチャードのジレンマ
 4 道具的価値に基づく理由
 5 最終的価値に基づく理由――理性主義
 6 そもそも理由なんていらなかった?――直観主義、再び
 7 Why be Moral問題および第III部のまとめ

おわりに

あとがき
文献一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ステビア

28
5年くらい積んであったけどやっと全部読めた…。よくまとまった好著だと思う。2022/06/29

テツ

16
この世界に絶対の正義も道徳もある筈がない。それは解っているけれど、自分の中でだけでも確固とした何かを築きたい。多種多様な主義について、その構成や問題点について(良い意味で)広く浅く触れていて、メタ倫理学についてきちんと学べる良書。正解などなく最終的には自らの好みで選択するしかないのだけれど、そこに至るまでに様々な倫理的な視点を経由することにより、自らの倫理観を育むと同時に、他者のそれを許容するような知性と知識も積み重なっていく。2022/07/21

ころこ

11
タイトルにある『倫理学』よりも、表紙のキャラクターの着ぐるみに表されている『メタ』に惹かれて読んでみました。章の前後にまとめはあるものの、分類分けに地道に付き合っていけないと、途端に迷子になります。そもそも具体例は乏しい分野なので、『倫理』に惹かれた読者には読み進めるのが苦しい場面もあるかも知れません。ただし、この様な学問分野があり体系立っているところへ、外野から荒らしまわるのは避けたいですが、『メタ』に寄っている内容かといえば、個人的にはかなり不満が残りました。例えば①暗黙の裡に相互主義に立っているが、2017/10/01

どらぽん

8
本の構成がとてもわかりやすかった。数多くの説が紹介されるが、章末と部末にはそれぞれまとめがあり、再読する際はそこだけ読めば概要を思い出せると思う。それぞれの説には問題と反論、さらには再反論まで紹介される。おそらく、読む人の倫理観もいずれかの説にひっかかるが、その問題点を指摘された時、どう反論すればいいか窮して、最終的に何が正しいかわからなくなる。自分はそうだった。とは言えど、いずれの説をとっても導かれる選択行動はほぼ同じになりそうなので(道徳全廃主義以外)、深く思い悩まなくてもいいかと自分を納得させた。2021/06/27

SGM

7
★★☆いい本だと思うが、いかんせん読むのが疲れる。また時機がくれば必要に応じて読み直したい。2017/12/27

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