内容説明
大勢に惜しまれながら、国民的画家・丹生雄武郎が亡くなった。享年九十七。彼は一方で寂れた民宿のあるじでもあったが、その生涯は未だ多くの謎に包まれている――。期待した筋書きを幾度も裏切られる破天荒な構成、そして昭和史の裏面を抉りながら最終的に物語が辿りつくのは……!? 小説界が驚倒した空前絶後、衝撃の大傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しんごろ
180
なんじゃこりゃという感じ(^^;)構成も独特!古い民宿の主は有名な画家でもあるだけど…という話!一話目みたいな感じでお話が進んだら面白いとは思いますが、構成が独特なんで…面白いと言えば面白いし…うーん、悩める本でした(~。~;)?個人的に策士策におぼれるという作品かと思う。2016/02/11
ちょろこ
133
寝込みたくなる一冊。雪国で民宿を営む国民的画家の人生を炙り出すストーリー。雪国気分で手にしたら…やられた。まさに雪を甘く見ていたらあれよあれよの猛吹雪にみまわれた気分。前半はどんでん返しも楽しめ、ちょっとした面白さを味合わせてくれるし、まさかのあの歴史に残る事件と人物をここでこう絡ませるか…にはちょっと感心するほど。が、やがて雪の怖さ、どんどん降り積もる物語の狂気に気づくような世界に。ここまで狂気を見せられると恐れ慄き、どんより寝込みたくなる。でもスルーできない史実が隠された物語でもある。うーん、複雑。2022/03/12
はるを
83
🌟🌟🌟☆☆。思っていたのと全然違っていたが面白かった。特に最初の2つの話が意表を突く展開でとても良かった。「ハート・オブ・ダークネス」の「もう一度、闘いなさい、自分の運命と」という最後の台詞が泣けた。画商という商売を痛快に皮肉った内容には笑えた。反面、まるで小説を書き始めたアマチュアが思いつきそうな3話は興醒めして残念だった。4話は確かになるほどね、とは思ったけれど全体の半分もページ数を割いた割にグッとくるものがなかった。前半と後半と全く別物の話を無理矢理繋げた感があるように俺には感じた。2022/06/19
カムイ
44
樋口毅宏の作品は2冊目、ま〜なんと形容したらよいのか困る実在の人物を絡めたノワールもの【民宿雪国】読むまでは泣かせる物語だと勝手に判断してた主人公の丹生雄武郎の裏の顔悲しいまでの一生を綴った物語、美術作品を本当にわかる人はいるのかと思いたくなる批評家の揶揄やそれに踊らされる市民、ジョークと言うしかない!どこまでが現実の世界なのか暗澹たる気持ちにもなった、あまりにもぶち込みすぎ、新潟の何処の街かはわからないが場景が勝手に浮かび過去に泊まった民宿を思い浮かべながら読んだ、作者が自由に書いたらこんな事になった→2021/03/15
はらぺこ
44
結局ウソかホンマか分からんかった。丹生雄武郎について証言してる人もウソをついてるって事かなぁ?ウソをつくメリットは無さそうやから、やっぱ丹生雄武郎は最後までウソを語ってたんやろか? 作者の意図は違うところにあるんやろうから別に構わんねんけどね。2015/07/06