内容説明
あらゆる悩み相談に乗る不思議な雑貨店。そこに集う、人生最大の岐路に立った人たち。過去と現在を超えて温かな手紙交換がはじまる……張り巡らされた伏線が奇跡のように繋がり合う、心ふるわす物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tetchy
1704
とにかく小憎らしいほど読者を感動させるファクターが散りばめられている。東野圭吾が本気で“泣かせる”物語を書くとこんなにもすごいクオリティなのかと改めて感服した。テーマが普遍的であり、読者に当事者意識をもたらせ、登場人物に自身を投影させる親近感が生まれるからだろう。語りたいエピソードの嵐であるのに思いが強すぎて何を語ればいいのか解らない。それほど心に響いた。特に浪矢雄治の人柄が実に素晴らしい。読み終わった後、しばらくジーンとして動けなかった。またもや東野圭吾に完敗だ。しかもとても清々しくやられちゃいました。2016/12/05
しんごろ
1318
未来と過去をなぜか往き来しながら悩み相談する雑貨店の話!かなり面白いね!(^^)また再読すること間違いないです!話がとんだと思ったらちゃんとつながってるし、いわゆる伏線を拾うという技ですね(^^)全ての章が面白くステキな物語でした(^o^)そして手紙の温かさを感じました(^^;)それから、これを読んだら『生協の白石さん』を読みたくなります(^o^)BGMには、いろいろ悩みましたが九州男の『マルアール』がいいかと思います(^^;)2016/03/29
zero1
1200
【情けは人の為ならず】時空を超えた言葉の力。泥棒三人組が廃屋の元雑貨店に隠れる。そこは相談で有名になった店だった。誰もいないはずの店に、相談の手紙が届く。モスクワ五輪(後述)を目指す選手、養護施設の歌手、回答者とその息子。ビートルズの思い出と夜逃げ。そして女性実業家。すべての人物が雑貨店でクロス。「陳腐」とか「ご都合主義」と批判するのは容易。しかし誰かを救い【伝えることの大切さ】を訴えたのは確か。読んでいて「リプレイ」や「夏への扉」を思い出す。残酷なようで、この世は善で成り立っている。2019/11/28
ehirano1
1077
読み始めから「これはイケるゾ」感満載の予感。ファンタジーとリアルの境界が絶妙でタイムトラベルモノとしては他書を圧倒していると思いました。勿論あっという間の完読でページを捲るのがなんだかとっても勿体ない気分でしたが、とても充実した読書となりました。2021/11/03
サム・ミイラ
1037
三十年前と現在との手紙のやりとりということで、まあなんでもありになってしまうのは仕方ない。でも時代考証がしっかりしているのでもしかしたらこんな事もあり?と思えるのは東野圭吾の手腕か。確かにそれぞれの話は悪くない。泣けないけど。読み終えると全てはナミヤ雑貨店とある施設の縁の物語だったと分かる仕掛け。その縁が実は重要でここは読んでもらうしかない。だから繋がり過ぎるほど繋がっているが正直私はここまでやらなくてもと思う。登場人物のひとりに偶然が多いと語らせるに至ってはもう居直りに近い。ここが一番の衝撃だった(笑)2015/09/13