内容説明
気まずさも、衝突も、痛みも超えて、人は何度も出会いなおせる。
「愛する勇気をもらえる一冊」 ――中江有里
イラストレーターの時子は、かつて共に仕事をした編集者のナリキョさんから、仕事の依頼をふたたび受ける。年を重ねて時子が得た感慨とは。(「出会いなおし」)
ほろ苦い思い出のある小学校の同窓会に出て知る、意外な事実。(「むすびめ」)
人々の出会いと別れ、そして再会を描く珠玉の六篇をおさめた短篇集。
解説・中江有里
※この電子書籍は2017年3月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
そる
304
再会だったり、行きずりの出会いだったり、生まれ変わってまた出会えるならを祈る話だったり、思いがけない出会いだったりの短編集。どれもステキだった。森絵都さん初読みでしたがこの美しい描写をあえてしないで素朴にクスッと笑わせるように書くのが、とても好みでした。それでいてちょっとだけ心揺すってホロリとさせられる。ハマりそうです。大絶賛です!「そして、もしつぎの生でまた会えるのなら─。 私のものにならなくていい、赤の他人でもかまわない、ただただ純粋に君の幸福を祈れる私でありますように。 どうか、どうか、どうか─。」2022/10/20
さてさて
249
『人生の大切な場面が詰まった6つの物語』というこの作品。6つもあればどれか気にいる作品がある。そして、6つの物語を読み切った時に感じる集合体としての魅力もある。そんな6つの物語には様々な出会いが描かれていました。『年を重ねるということは、同じ相手に、何回も出会いなおすということだ』。一度の出会いで気づかなかったこと、気づけなかったことがあったとしても、生きてさえいれば、再び出会いを重ねることもできる。その出会いが次の出会いを作っていく。サクッとスッキリ、森さんの作品ってやっぱりいいなぁと感じた作品でした。2021/09/26
エドワード
127
「年を重ねるということは、同じ相手に、何回も出会いなおすということだ。ああ、年をとるって、面白い。」同世代の森絵都さんの言葉に思わず涙が出る!そうなんだよ、五十を越した身には、膨大な数の人との出会いがある。そして思いがけない再会がある。同じ歳月を、異なる人生を歩んで再会する喜び、昔話をする喜びはかけがえのない宝物だ。デパ地下の物語も三十一人三十脚も面白かった。カリオストロの城やムーミンが顔を出す文章にも、仲間だなァと感じる。129ページから始まる4ページは、世にも稀なる美しい詩だ。ホント朗読してみたいね。2020/04/06
MI
123
「出会い」短編6集。イラストレーターと編集者との出会いなおしが1番よかった。また今度ごはんでもいきましょうといいながら、淡い恋心とつかず離れず、何年後に出会う人の縁の不思議さを感じた。「むすびめ」は小6の時、クラスで30人31脚、主人公は本番で転んでしまう。あの時のトラウマが時を経て、同窓会で知らされた真相に、それぞれが抱えた想いと主人公の明日への力がみなぎる作品。「カブとセロリの昆布サラダ」にはデパ地下で買ったサラダがカブではなくダイコンだった。お店にクレームの電話。店側の言い訳が見事で笑ってしまった。2023/08/07
niisun
111
いい短編集でした。かつて読んだ直木賞受賞作『風に舞い上がるビニールシート』を彷彿とさせるクオリティー。表題作『出会いなおし』は、四半世紀を同じ業界で転職を繰り返してきた私には、様々な人たちとの出会いなおしを沁々と振り替える内容でした。どの小編も良かったですが、特に『テールライト』と『青空』が好みです。どちらも、わりとベタな“輪廻転生”と“臨死体験”な設定なんですが、読み終わったときに、巧いなぁ~と感じました。闇に溶け入るタクシーのテイルランプ、フロントガラスの隙間から見える青空が、鮮やかに像を結びます。2020/05/10
-
- 電子書籍
- W32 日本のグルメ図鑑 47都道府県…
-
- 電子書籍
- 土木のずかん 災害に備えるわざ