内容説明
犬が好き――でも愛だけでは守れない。
捨て犬。野良犬。迷い犬。この世は不幸な犬で一杯!
どこかの一頭が飼い主にめぐり会えたかと思えば、どこかでまた五十頭が捨てられて、救われる犬は、ほんのひと握り。毎日こんなたくさんの犬が殺されている社会って、何なのだろう?
人と犬の出会いは、時に幸福をよび起こし、時に悲劇をひき起こす。
はかない命を救うために奔走する人々を通じて、現実をつぶさに見つめ、命の声に耳を傾けた傑作ノンフィクション。
絵本作家・スギヤマカナヨさんのイラストコラムも必見です。
※この電子書籍は2009年3月に毎日新聞社より刊行された単行本を、文春文庫より文庫化したものを底本としています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
pino
101
うちのチワワさんは元捨て犬。歯を剥き咬む事もあったが、今では甘えん坊の顔もみせる。ただ、外ではブルブル震え一歩も動かない。施設で処分される前の犬の動画を見た。怯え、吠える犬たち。その叫びに引かれるように、チワワさんが寄ってきて、クンクン鳴きながら、物陰に隠れてしまった。日頃はTVにさえ興味を示さないのに仲間の悲しみが分ったみたい。自分が捨てられた事を思い出したのかな。チワワさんに、ずっとここで暮らすんだよ。と話かけた。森さんの「愛だけでも命は守れない」の言葉が重い。犬を買うのではなく、命を飼うのだと思う。2012/09/29
さゆ
42
私だったら・・・、私だったら保健所で殺処分される犬の取材に行っても、最期のその瞬間、とうていその犬と目なんか、合わせられないだろうと思った。私は卑怯者だ。こんなに多くの犬が(猫も)こんなにひどい目に合っているのに、大人の一人として、何もできないでいる。たった一匹でも、それらの命を救ってくらた人達に、深い敬意を表したい。そして将来、もしも犬を飼える環境になったら、ペットショップに買いには行かないで、この子たちの中からひきとりたいと思う。たとえ1匹しか救えないとしても。2012/10/26
takaC
37
2年ぶりの再読。愛犬家でない自分でも結構楽しめる1冊。2012/09/08
がいむ
35
我が家のわんこも10年前に保護ボランティアから受け入れた犬。「もし飼うのならこういう犬たちがいるよ」とやはり里親になっていた近所の人から詳しく教えてもらったのが縁です。この本はさまざまな事情で飼い主から離れたり捨てられた犬たちのことを書いています。落ち着かなかったり、何かを極端に嫌がる様子は来た当時のうちのわんこを思い出します。森さんの小説はあまり好きではないけれど、ルポルタージュに向いた文章なのかなと、ちょっとえらそうに^^; 保健所の殺傷処分する現場まで入り込むことはなかなかできない。すごいです。2012/09/24
James Hayashi
30
普通犬の話となれば癒し系だと思うが、これはヤバく痛い話し。エッセイであるが先月愛ネコを安楽死させた自分としてはとても辛く滞ってしまった。(日本ではペットでも安楽死はないのか?)長い付き合いで飼い主のコンディションに左右される事は致し方ないが、人間の都合でペットを抹殺することは受け入れられない。進化する時代にはペットも死なないロボット化が望まれるのかもしれない。2019/04/16




