内容説明
ある晩、大江家の頼姫のもとを訪れた検非違使佐・常貞から求婚の歌を預かった女房の小夜は、目を疑った。なぜなら、そこに書かれていた歌はあまりにも下手だったのだ。そのひどさは、思わず歌を添削して返すという無礼な振る舞いをしてしまうほどだったのだが……。姫のわがままから童子姿をした日に、二度と来ないと思った常貞に再会したばかりか、姫への恋心を募らせた彼から、姫に送る歌の指導をして欲しいと頼まれてしまって!? 嘘と恋歌が結ぶ恋絵巻。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅてふぁん
50
歌が苦手な検非違使佐、常貞に指南することになった女房の小夜。この時代に歌が詠めないって貴族として致命的!そりゃ婚期も逃すわ。「込み上げる想いが人を歌人にさせるのだな」-常貞様、良いこと言う~(´艸`*)2021/01/03
椛
23
作家名も見ずに、なんとなく買って読了して気付く。 なろうの作家さんでしたか。 最後はスッキリまとまって好きだけど、読み始めてかなり後半のほうになるまで頼姫に苛立ちを隠せませんでしたw それでも最後まで読めたのは、他の人物が良かったからなのかも。 2022/03/21
すがはら
18
ほんわかした平安調。時代背景は王朝文化も衰退期に入り武家の世の中に移り変わっていく頃で、紫式部のような女流作家になって女官として活躍したいと望む才気活発な姫君(ヒロインの主人)の夢は初めから暗雲立ち込めた感じとのこと。そんな訳で安穏な結婚を勧める周囲と勝ち気な姫の思惑のズレにヒロイン小夜がはまりこんで、気付けばラブコメの当事者というニヤニヤ展開。ニヤニヤしてたら急にウルウルくる健気な流れになって、お嬢様が猛反省する姿も見られた上でのメデタシメデタシ。手軽に読めて意外と満足感ありでした。2020/06/14
ううち
14
可愛らしい平安もの。 平安時代では無骨と言われる常貞様ですが、察しも良くてカッコいいよね?小夜が少しづつ惹かれていくのも可愛らしくてほんわかした。2025/05/26
粋
9
なかなか面白い設定でどうもっていくのか気になって一気読み。そして、頼姫の父親にあんなにうるうるさせられるとは(笑)頼姫と常貞が仲良くなるわけがないな。何せ似た者同士で小夜が二人とも好きすぎるから(苦笑)謀っていたことを怒りもせず許す常貞に流石に人が良すぎるだろうと思ったが、頼姫に対しては当たり前のように怒っていて何か安心した(笑)結局、小夜の父親は分からずじまいだったが、知らないことで得る幸せだったのでしょう。そのお陰で、頼姫の父親とのやり取りがより感動的になったと思う。2022/12/14