内容説明
ソルトレイク・シティの刑事弁護士ダニエルは、元夫の再婚が決まり、連日二日酔い出廷中。そんなある日、麻薬密売容疑をかけられた知的障害のある黒人少年の弁護依頼が。未成年なので簡単に不起訴処分に持ち込めるかに思えた。だが、いざ調査を進めてみると、少年は誰かに利用されたとしか思えないのに、何故か検察も判事も実刑判決にする気満々で……酔いどれバツイチのお人好しモテ美人弁護士が社会の闇を吹き飛ばす!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
124
ユタ州を舞台とした弁護士ドラマ。知的障害を持つ黒人少年の麻薬事件、検察側は彼を強引に裁こうとしており何かしらの意図が見え隠れする。それに抗うべく孤軍奮闘する女性弁護士ダニエルが人間味があって、そしてとてもイカしていた。二日酔いで出廷とか駐車場の奪い合いで躊躇なくぶつけるなどのハチャメチャぶり。でも理不尽な事には判事相手でも全く怯まない姿を応援してしまう。テディとのやり取りも良かった。ヤケクソになりかけた彼女を彼が優しく諭す場面に私もハタと冷静になって沁みた。彼女と彼は共にお互いを救ったのだと思う。2020/04/19
のぶ
96
面白かった。物語の印象としては軽めの感じだが、読み手をそらすことなく最後まで読み通せた。弁護士のダニエルは、ソルトレイク・シティの刑事弁護士。麻薬密売容疑をかけられた知的障害のある黒人少年、テディの弁護を買って出る。未成年なので簡単に不起訴処分になると思いきや、起訴され裁判にかけられる事になる。その裁判の描写がストーリーの大半になるのだが、ダニエルのテディに対する愛情が良く伝わって来る。黒人差別や知的障碍者への偏見も込められていて、裁判のシーンもスリルがあり、思った以上に深い作品だった。2020/06/12
ずっきん
92
知的障がいのある黒人少年テディの弁護を引き受けたダニエル。未練タラタラの元夫の再婚が決まって、連日大酒ヤサグレ中。ダニエルの破天荒ギリギリの感じが妙にリアルで、うんうんと激しく共感してしまう。表紙ユルすぎやろ!と思うくらいテーマは重く、思いやりがあって、正義感が強くて、でも自分にぶきっちょなダニエルがブチ切れながら戦う物語。逆転劇も痛快だけど、リーガルものとしての山場はそこじゃない。なに、これ⁉︎ずるいーー‼︎って目頭熱くして、すっかり惚れこんでしまった。そして、ウィルください。2020/12/30
Panzer Leader
88
コメディ風な表紙にかかわらず中身は極太な弁護士物。私生活に問題を抱えながらも、知的障害のある黒人少年の弁護に邁進する姿は小気味良い。本の煽りにもあるように「酔いどれバツイチのお人好しモテ美人弁護士(副詞の嵐だなあ)社会の闇を吹き飛ばす。」の通り。こういう私生活はグダグダだけど仕事はピッチリって女性主人公物を読むと、海外ドラマ「クローザー」のブレンダ・ジョンソンを思い出す。2021/12/03
papako
74
息苦しかった。皆が寄ってたかってテディをがんじがらめにするんじゃないかと。でも、黒人で知的障害があるもうすぐ誕生日の17歳のテディ。麻薬取引で逮捕される。そして障害の有無に関わらず成年として裁かれる。テディを利用していた嵌めた犯人はすぐに思いつくけど、やりきれない。法からも福祉からもこぼれ落ちたテディに救いの手を差し伸べた飲んだくれ弁護士ダニエル。法制度に対しての文句ばかりで事件が置いてけぼり。ちゃんと調べれば違ったような。そして著者のあとがきが一番怖い!事実は小説より奇なり。アメリカの闇は深い。2021/04/16