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内容説明
「18歳の頃の自分に戻れるとしたら、戻りたいですか?」――あなたが中高年世代の方だとしたら、この問いにどう答えますか? 著者の元にカウンセリングに来られる50代、60代のほとんどの方は、この質問に「戻りたくない」と答えるそうです。体力や記憶力が若い頃と比べて低下しているにも関わらず、なぜなのでしょうか。それは、今ある知識や経験が、人生の様々な局面で学び得たものであり、歳を重ねたからこその、物事の深い理解や味わいを知っているからだと著者は言います。本書は、アドラー心理学とギリシア哲学を学んできた著者が、「今、ここ」を精一杯生き、老いを愉しむための最上の幸福論を説いたものです。「生産性で人の価値は決まらない」「人生はマラソンではなくダンスである」「大切な人の心の中で生き続ける」「人間は何歳からでも変われる」……、これから老いを迎える人も、老いの真っただ中にいる人も、きっと珠玉の言葉に出合えることでしょう。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
nakanaka
52
成程と思える言葉が沢山ありました。個人的には老いるということをネガティブに思っていませんが、より前向きになれました。特に響いたのは夫婦についてと子育てについてです。ちょうど夫婦喧嘩の真っ最中だったので刺さりました。親にしても妻にしても子供にしても当たり前の存在になっていますが、自分自身の態度を省みないといけないと感じました。読んで良かったです。アドラー心理学というものにも興味が湧いてきました。2025/03/05
パフちゃん@かのん変更
24
歳を重ねてこそ、物事を深く味わえる。「できない」自分を受け入れることが「できる」ようになる一歩。「今、ここ」を大切に生きる。大人になる三つの要件①自分の価値を自分で決められる。②自分が決めなければならないことを自分で決められる。③自己中心性からの脱却。家族の幸福を思うなら、まず、自分が幸福であること。毎日を機嫌よく生きる。嫌われることを恐れない。などなど・・・2024/11/08
やどかり
18
心が穏やかになるし、学ぶところの多い読書だった。私ではなく「私たち」を主語に考える。「今、ここ」を大切に生きる。先々のことを案じるのは、「今、ここ」をなおざりにしているから。「生きている」だけで人の役に立てる。人は幸福に「なる」のではなく、幸福で「ある」のです。それに気づくことが大事。真の幸福は「おのずから外に現れて他の人を幸福にする」。幸福とはどのような形で外に現れるのか、①「機嫌がよいこと」、②「丁寧である」「親切であること」に現れる。2024/05/03
nori
3
『嫌われる勇気』で知られる、岸見さんの著書。 アドラーの心理学やプラトンの哲学に、三木清さんの人生観をプラスしたような本です。扱っている題材としては、『親の老い』や『自分の老い』について。 いわゆる『勇気の2部作』とは異なる文体で綴られています。介護や老化など、避けられないテーマに対して、サクッと読める文章は、流石としか言えません。 親にも読んでほしい、そんな一冊でした。2020/05/24
Akira Suzuki
2
50代になってから、老いることにとてもネガティブな考えと感情を持ち続けている。まったく無くなったということではないが、この本を読んでかなり気分が楽になった様に思う。その意味ではカウンセリングに等しい読書であった。自身の老いだけでなく、親の介護についての内容もあり、正に至言と言えるアドバイスであった。これから親の介護を迎える人にはとても有意義な本になるだろう。まだ若かった頃の、いろいろなことが自分でできていた親を理想として、老いた親によかれと思って強いることの問題や罪深さをひどく思い知らされるはずだ。2025/01/21