内容説明
世界で吹き荒れた「イスラム国」のテロリズム。過激な思想や暴力性の背後をたどると、イスラム教徒の怒りや深い絶望が見えてきた。一方、正義を掲げた大国はなぜさらなる混乱を招いたのか。倒錯した現実を活写する。
(目次)
はじめに
第一章 衝撃の駐在初日 ── 後藤さん、湯川さん事件
第二章 拡大するテロリズム ── 過激思想伝道師との接触
第三章 追われる人々 ── レスボス島、難民上陸の瞬間
第四章 大国の欺瞞 ── 兵器のバルカンルート
第五章 大量破壊兵器はなかった(上) ── 一人の嘘になぜ世界は乗ったのか
第六章 大量破壊兵器はなかった(下) ── アメリカ史上最悪の決定
第七章 ゴーストタウンの要塞で ── 政府軍に転身した元兵士の熱狂
おわりに
参考文献
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buuupuuu
4
TBS報道記者の取材記。ゴムボートで押し寄せる難民たち。米軍に委託され、シリア反政府勢力に武器を供与する民間軍事会社。そこで働き事故にあったドハティ氏は、現役軍人ではないので十分な補償が受けられない。イラクに大量破壊兵器があると法螺を吹いた亡命者「カーブボール」。それを根拠に対イラク戦争に踏み切ったアメリカ。生物兵器の工場だとされた場所はただの種子精製工場だった。戦争で故郷を追われ親族を喪ったアルドゥレイミ博士は「なぜ、我々イラク人がアメリカの嘘の代償を払わなければいけないのですか」と叫ぶように訴える。2021/08/30
越部社長
2
中東という、日本人にとっては「遠い話」を、特派員として取材し続けてきた著者が、取材を通じて見えてきたテロリズムの背景にある様々な不正義や理不尽について、自分の言葉で分かりやすく語っている。紋切り型の形容や単純な善悪二元論を廃し、取材現場で感じた様々な戸惑いや恐怖などについても、出来る限り率直に語ろうとする著者のジャーナリストとしての姿勢は好感が持て、今まで読んだ本の中で、最も中東について自分事に引き寄せて考えるきっかけを与えてくれてた。2021/08/29
Jun Masuno
2
TBS中東支局長だった著者が行った取材をはじめとした、なぜイスラム国が出来、無くなったのか、その前後の情勢も書かれた作品 我々があまり知らなかったことも含め、描かれている また戦争がビジネスとなり、敵、味方が結果地続きとなって、個人が犠牲なる、なんとも切ない現状もあり 考える作品でした2020/06/27
takao
1
ふむ2020/11/18