ちくま文庫<br> 痕跡本の世界 ──古本に残された不思議な何か

個数:1
紙書籍版価格
¥858
  • 電子書籍
  • Reader

ちくま文庫
痕跡本の世界 ──古本に残された不思議な何か

  • 著者名:古沢和宏【著】
  • 価格 ¥825(本体¥750)
  • 筑摩書房(2020/03発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480432803

ファイル: /

内容説明

古本の中には、元の持ち主によるメモ、付箋などが残っていたり、手紙や写真が挟まっているものがある。著者は様々な痕跡からドラマを夢想する。童話集に挟まれたラブレターから二人のその後を、女学生の名前から百合的なドラマを……。そして痕跡本を持ち主に返す旅に著者は出かけ、持ち主に会うことに! 「痕跡本」を通して本と人との関係性を考える一冊。

目次

はじめに
第1章 痕跡本は語る
あこがれのかたち 『クリック──佐藤雅彦 超・短編集』
愛情の上書き 『アンガスとねこ』
言葉はわかっても、話は通じないような 『いたこニーチェ』
「少女の終わり」に、勝手に思いを馳せて 『胸より胸に』
本に託した言葉 『アンデルセン童話集』全10巻
「絵日記」のような「何か」のような 『ガラスの靴・悪い仲間』
「クワイエットルーム」からの手紙 『クワイエットルームにようこそ』
クイズの答えより、あなたの答えを私は聞きたい 『テレビクイズ入門』
悪口に愛をこめて 『吉本隆明 全マンガ論』
「危険」で「ドラッグ」な「ドラッグ本」 『ドラッグ in ロック』
目つぶし肯定論 『ウルトラマン』第1巻
本が友だちだったころ 『超力戦隊オーレンジャー』17巻
神は細部に宿る 『サッキュバシィ絵夢』
「あの時代」をつかまえて 『パックランドでつかまえて』
「痕跡本」の痕跡から「本」を読む 書籍情報一切不明
第2章 痕跡本を聴く
不器用な先輩は、ただ無言で本を置く 『演技入門』
田舎者の苦悩 『管理人の飼猫』
「誰か」の地球の歩き方 『地球の歩き方 フィリピン』
いっぺんタイマンはったらダチじゃい! 『冬の火花』
血のながれる病 『パリ仕込みお料理ノート』
封印されたページの向こうに 『私の美男子論』
慌てるな! これは孔明の罠だと信じたい…… 『諸葛孔明』
退屈な時に読む本は、何も考えないでいいんじゃね? 『退屈世界』
翻訳がつなぐ縁 『悪の華』
痕跡本を読んでると、ついつい運命とかいいたくなっちゃう 『図会 キリシタン風土記』
図書館の本って、まさか元祖ツイッター? 『行かずに死ねるか!』
これは……持ち主に返さなければ……! 痕跡本、持ち主探してロンゲストジャーニー 『平和の政治学』
第3章 痕跡本、様々なかたち
裏返し本のコワさ
本をカスタマイズする人々
詩人になる人々
メモ帳がわりにされた本について
アンケートはがきは出されない
「途中読み」の楽しみ方
「記録」としての痕跡本
付箋あれこれ人それぞれ
プレゼントのゆくすえ
第4章 痕跡本、それから
「痕跡」は、本が一番面白い
自費出版本について
読んでない本大賞のこと
あとがき
推薦文 岡崎武志

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

やすらぎ

184
作者が営む古本屋には個性的な本が集まる。そして妄想。この書き込みの意味は何。なぜここに記しを付けたの。読書家がいつか巡り合う痕跡本。線を引いたり角折ったりするのは好まないけど、栞代わりに色々なものが挟まっている。レシートや付箋、お札や手紙、押花など。個人名入りのサイン本を手にすると少し切なくなった。手作りの牽引、上下巻合本。余白で繰り広げられた討論。本から熱意が伝わってくる。古い本にはよく何時読み終わったか記されていたという。巻末に歴代の読了記録を残す頁があったら楽しそう。読友さんに出会えるかもしれない。2024/01/28

へくとぱすかる

58
古書の価値を下げる書き込み。しかしそこから持っていた人の気持ちや物語が見えてくるのも事実。この一種の「目的外使用」は、何とバラエティに富んでいるのだろう。古書の逆転した楽しみ方だが、買うのなら、やっぱり書き込みのない方がいいから、自分もアンダーラインを引く読書はしない。だから私には松岡正剛さんのまねは到底できない。2015/10/15

hnzwd

49
書き込みや落書きが残された古本「痕跡本」にフォーカスをあて、その書き込みで裏側にあるいろんなドラマを妄想しちゃう、という作者の妄想力溢れる一冊。正直ついていけない部分もあるけど、嫌いじゃない。買った本に書き込みあったらちょっと驚くけどねー。2015/09/05

ミライ

47
痕跡本(古本などに時々ある、本に書き込みやメモが挟まった本のこと)に関して、著者の古沢和宏さんがこれまでに出会った「物語」のある痕跡本を解説した一冊。自分はオークションや古本屋で買った本に書き込みがあった際には「やってしまった感」があるタイプだが、古沢さんはそこに「面白さ」を見出している。さまざまな痕跡本が紹介されている中でも、他人の名前が書いてある古本があり、名前をネット検索したら出てきて、その人に実際に会いに行くというドラマチックな展開もあり、非常に面白かった。2020/06/03

けいた@読書中はお静かに

37
古本に残った書き込み、メモ、手紙、傍線などから前の所有者に思いを馳せる本。妄想が飛躍しすぎだろ!と思う点もあるけど、面白い。実際に古本などではよく遭遇するけど、実用書の傍線やメモ書きは前の所有者の考えが色濃く反映されてて感慨深い。またミステリー作品に挟まれてる登場人物一覧も便利。悪質な痕跡本にまだ出会ったことがないな。2016/06/19

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/9723303
  • ご注意事項

最近チェックした商品